第4話 修行しようっ!Ⅱ
レオは目を覚ます。見渡すと真っ暗でマリーナさんはいない。
「スリープかけられたのか。」
このまま待っていればもどってくるだろうか。いや体力も回復したことだし探しに行こうっ
レオは考えた。どちらに進めば良いのだろう。
待てよっ。水の音がするな。川でもあるのだろう。
よしっ決めたっ川の方に行ってマリーナさんがいなかったらもどってこよう。
川の方に警戒しながら進む。さっきマリーナさんから習ったように、スキル<脱兎>を常に使いながら歩く。
暗いが川に人影が見えるマリーさんだろうか。
「マリーナさん。探しましたよ。って…」
レオは驚く。マリーナが裸で水浴びをしていたのだ。
「ってキャァァァ。」
マリーナから特大のファイヤボールが飛んでくる。脱兎使ってなかったら直撃してた…
「いきなり攻撃するなんて危ないですよ。マリーナさん。」
「レオあっち向いてなさい。」
「もう向いてますよっ。」
服を着ているだろう。衣擦れの音を聞くともんもんとした気持ちになる。
お待たせと言い、マリーナさんが頭をなでた。
「何してたんですかマリーナさん。驚きましたよ。」
「魚とってたのよ。夜ご飯用に。ついでに水浴びしてたのっ」
そういうことなんですね。と言い先程のテントがある場所まで歩いて戻る。
「あんた気がついていないだろうけど、私気配察知の魔法使ってたのよ。それでも気が付かなかったなんて…」
マリーナは驚いている。
「マリーナさんに言われてからスキル<脱兎>使ってましたから。」
「ん~なるほど。脱兎には避けるだけじゃなくて気配も消す能力もあるかもしれないわねっ。」
そうなんですねと返事を返す。
「でも脱兎を使ってトレーニングしていたことは偉いわ。使えるだけ使って慣れておきなさい。」
わかりましたと言いレオが続ける。
「それにしてもマリーナさんって大人だなって思っていましたけど、胸は…」
話の途中でマリーナがレオの顔を掴み体をそのまま持ち上げる。
「あらっなにか言ったかしらっ。それにマリーナさんはスレンダーで美人…でしょ?」
「っっはい。マリーナさんはスレンダーで美人です。」
そう言うと満足したようにレオから手を離した。
地雷は踏んではいけないと心に誓うレオであった。
◇
食事を作るのはレオの担当だ。
お昼にマリーナさんが作ってくれたのだが、ゴブリンを丸焼きしたまま食べ始めたのを見てゾッとした。
今日はマリーナさんがとってきた魚を加工して焼こう。
持ってきた短剣で捌き、内蔵を取る。後は薬草を刷り込んで臭みを取って、串に刺したら下準備完成だっ。
「マリーナさん準備できました。焼いて食べましょう。」
今まで家族でご飯を食べることに幸せを感じていた。
「美味しいわね。レオあなた料理屋したほうが良いわよっ。」
美味しそうにハフハフしながら魚を頬張っている。
「オレの夢は騎士ですから、これくらいであれば毎日作りますねっ」
マリーナさんは料理ができない。必要だと思っていないから、すごく感謝された。
「食後の甘いものはないから、レオ、ころちゃんだしなさい。」
マリーナがオレに早くしろと言わんばかりの顔で命令する。
わかりましたと言いコロを召喚する。
コロが出てきた瞬間にもうマリーナさんはコロしか見ていない。抱いて顔をコロに埋めている。
「もふもふ~」と言いながらよだれ垂れていますよマリーナさん。
◇
「えっテントの中で二人で寝るんですかっ。」
どうやらテントを見ると1人様用みたいだ。
「テントで寝られるだけありがたいと思いなさい。それともお姉さんと寝るの恥ずかしいのかなっ」
マリーナがレオをからかった。
「まぁ恥ずかしいです。」
「あらっレオもお年頃ね。でも冒険者はそんなこと言っていられないわっ。早く来なさい」と呼ばれる。
二人で抱き合って寝てぎゅうぎゅうになる広さだ。
マリーナがニコっと笑い。レオを抱きしめる。
「明日からも忙しくなるわっ早く寝なさい。」
マリーナが頭をなでてくれる。
「はい。」
返事をした直後にすぐに寝息が聞こえる。
「こう見るとまだ子どもね。」マリーナがつぶやく。
マリーナは思った。この子は天才だと。いつか自分なんかが教えることがなくなるくらい大きくなると。いつか別れなければならない日が来るだろう。
それももう少し未来の話か。マリーナは目を閉じだ。
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