第4話 平成最後の法螺話

■平成最後の法螺話

◉主人公

◎回想

窓辺の椅子に腰掛けて遠くを眺めている。

主人公 4ヶ月の一年はもうすぐ終わる。そうして、次の一年が始まる。こんなにわくわくしているのはいつぶりだろう……。きっと二度とこんなふうに感じることはないんだろうな。

主人公、ペンを手に取り白紙のノートに書き込んでいく。

主人公 この興奮に乗じて、どんな事を語っても許される気がする。……よし。


◎回想終わり

主人公 花鳥風月を讃え、良き世であるように願った始まりの年のほんの些細な物語。

主人公 ここからずっと離れた遠くで小瓶が落ちた。その小瓶は幸い割れることはなかったけれど、小さなシミを一つ作った。

ページを遡っていく。これ以降ページをめくりながら進める。

主人公 その染みは、8ヶ月のはずの一年を少し伸ばしてしまった。もちろん、4ヶ月の一年はそのままに。沢山の人が笑って沢山の人が嘆いた。たった一月、されど一月、染みが生み出したひと月は世界に馴染み溶け込んだ。……でもそれは遠い未来のこと。その時の人々は焦った。だって突然一年が伸びたのだから。大騒ぎだった。

モブ1 戻そう

モブ2 何を?

モブ1 これは正しくない

モブ2 正しいって何?

主人公 それからは答えの消えた問いの答え合わせが始まった。でも1日1日と13ヶ月の一年が当たり前になっていった。記憶が変わり、記録が変わり。それから、12ヶ月の一年は、幻想の話へと移り変わって行った。

主人公ノートを閉じる。(最終ページは13月の表記)

主人公 今はもう、人々は13ヶ月の一年を生きてる。

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