第2話 バレンタイン
■バレンタイン
◉女子高生1、2
◉男子高校生
◎放課後、校舎裏。女子高校生が男子高校生を呼び出した。
JKの手元にはラッピングされた箱。
女子高校生1 ねえ! 知ってる? チョコレートってすっごく硬いの。それに、ただ溶かすだけじゃダメなんだよ。
女子高校生2 はいはい。ちゃんと連絡したの?
女子高校生1 したよ! ほら!
制服のポケットからスマホを取り出し、アプリでのやりとりを見せる。
女子高校生2、しばらく画面を見て何かに気づいた様子
女子高校生2 あれ? 返信来てないの?
女子高校生1 そうなんだよね……既読はついてるから、伝わってるとは思うんだけど。来てくれなかったらどうしよー
スマホ、ポケットに入れる
女子高校生2 ま、まあ大丈夫じゃない? びっくりして返信してないだけかもしれないし……
通知音が鳴る
女子高校生1 !! もうすぐ来るって! 喜んでくれるかなぁ……
女子高校生2 大丈夫だよ、きっと。……! それじゃ、私隠れてるから!
女子高校生2慌てて物陰に隠れる。
男子高校生、二人のところに来る。緊張している様子。
男子高校生 あ、えっと話って、何?
女子高校生1 あ、あのね。(深呼吸)文化祭の最終日のこと、覚えてる?
辿々しく話始める。
男子高校生 最終日……? なんかあったか?
女子高校生1 あったよ! 打ち上げ終わって、帰る方向一緒だからって途中まで一緒に帰ったでしょ?
男子高校生ピンときていない様子。女子高校生1話を続ける。
女子高校生1 沈黙がなんか気まずくって、でも何話したらいいかわかんなくって、困ってたんだけど、あなたが「お疲れ様」って言ってくれて、それがすっごく嬉しくって……で、えっと……な、仲良くなりたいなって思って!
男子高校生 あ、あー。そんなこともあったな。半年ぐらい前じゃん。
女子高校生1 そう、なんだけど。
男子高校生 それに、たまにチャットするぐらいで、あんまり話した記憶ないし……
女子高校生1 (弱々しく)それはそうなんだけど……。で、でも! 私その日から、あなたのことずっと目で追ってて、友達にも茶化されたりもしたけど、でもその、もっと仲良くなりたいなって。いろんな話したり、いろんなところ行ったりしたいなって。そしたら、バレンタインを利用しちゃえって……
男子高校生少し表情が緩む。
男子高校生 それで?
女子高校生1 わ、私は迷惑かもしれないって言ったんだけどね、でもね、その勢いにまけちゃって……。生チョコ、作ったの。初めて作ったから、上手じゃないかもしれないけど、ちゃ、ちゃんと食べれるもののはずだから、あの……その……
女子高校生1、2が隠れてる場所に視線を送る。
女子高校生2応援していることを合図する。
女子高校生1小さく頷いて、男子高校生を見る。
女子高校生1 う……受け取ってくっ、くれ! ますか?
男子高校生 あ、ああ。
少し嬉しそうに、女子高校生1が差し出した箱を受け取る。
男子高校生 それで、俺は受け取るだけでいいわけ?
女子高校生1 あ、え……。な、仲良くしてください!
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