12ヶ月の短編集(戯曲改稿版)
藤森空音
第1話 元日の早朝
■元日の早朝
◉20代後半の女性(社会人)
◎早朝の電車の車内。窓際の座席
女性、車窓から外を見ながら呟く。
眠たげ。
女性 本当は神社で見たかったんだけど
女性落ち着かない様子。スマーホフォンの画面を何度も確認する。画面には日の出時刻の検索結果。
空の様子をみて、期待がかかったため息。
女性 あの朝焼けは観れるかな……
窓の外をかじりつく様に観ている。
女性 あっ!
何かに気づいた様に慌ててスマートフォンを操作する。動画撮影モードに切り替え、外の様子を録画。
女性 (楽しそうに)あと何駅ぐらいだったかな。……やっぱりもうちょっと早く出てくればよかったかなぁ。
●回想
◎早朝の街中。女性が人も車もない街を新鮮な顔で眺めている。大きく深呼吸をして、無邪気な顔をする。
◎鮮やかな朱色の朝焼け。電車の車内、疲れた様子の女性。
女性 始発に乗れば楽って思ったけど、起きるの、大変すぎ……。昨日の私、馬鹿じゃないの……。なにが、天才! これで満員電車から逃れられる! なの。満員電車とは別の辛さ……。(ため息)
揺れた拍子に窓ガラスに頭をぶつける。閉じかけたまぶたを開く。朝焼けを視界に捉えて一気に目が覚める。
女性 …………。きれい。
●回想終わり
◎冒頭の車内
女性 それからずっと、この時間の電車にしたんだっけ。でも、あの空、1週間ぐらいしか見れないんだよね。
悟った様な穏やかな表情で外を観ている。車窓からは白み出した空が見える。
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