『絶対服従な彼女』
「ソラ様、今日の朝食すっごく美味しかったです♡ 特にあの卵焼きって料理、すっごく甘くて……あんなにお砂糖を使っていただいて大丈夫だったんですか?」
「? リースは甘いの苦手だった?」
「いえ。寧ろ、甘いのは大好きです。ただ砂糖なんて高級品、私なんかの朝食の為にあんなに使っていただいて申し訳ないな、と」
……あの世界では砂糖って高級品なんだ。上白糖なんて浴びるほど使っても大した金額にならないからイメージが湧かない。
「いや、この世界だと砂糖は別に高級品でも何でもないよ。……だから、甘いもの好きならいくらでも買ってあげるよ」
「本当ですか? ありがとうございます、ソラ様。大好きです♡」
言いながら、リースは俺に抱き着いてくる。決して大きくはないが小さくもない胸がむにょんと俺の腕を挟んだ。思わずリースの頭を撫でるとリースがえへへと笑う。
今の俺たちは傍から見ればカップルとかに見えているのだろうか?
俺たちは今、リースの服やそのた生活必需品を買いそろえるために街中にいる。
リースは銀髪紅眼の日本人離れ――いや、現実離れした美少女で人目を引く。街往く人たちが、そんな美少女を連れ歩く俺に嫉妬の視線を向けてくる。
……リースは今、俺の服を着ているからな。お家に泊まった後に見えている事だろう。まぁ、お泊りもやることもやったんだけどね( -`ω-)✧
内心ちょっとだけ優越感を覚えながら、リースのお尻に手を伸ばす。
「あんっ♡ ソラ様///」
小ぶりだけど柔らかくて、とても揉み心地が良い。
「とりあえず、その恰好のままなのも何だし服から買いに行くか」
「はい♡」
とりあえず色気のある下着と、あとは服だな。クラスメートたちにお菓子を売ったり、金貨を換金したりして得た大金を持っている。軍資金は十分だ。
◇
「似合ってますか?」
白い半そでのシャツにジーパン。生地が薄いから、さっき買った黒のブラが透けている。俺が持っている服とそう変わらないデザインの服でも、ちゃんと体格に合ったサイズの服を着るだけでパリコレモデルもビックリなオシャレコーデに変身する。
「ああ、凄く似合ってる」
「ありがとうございます。これで、ソラ様とお揃いですね♡」
……だから似たようなデザイン選んだのか!
「一着だけじゃ心許ないだろ。他にも買うぞ。次はスカートも試してみたいな。リースならきっと似合う」
「そんな/// ……でも、そんな沢山こんな良い生地の服を買って貰って――」
「良いんだよ。ここの服もそう高くないし」
「ソラ様、実はお金持ちだったんですか?」
「まあ、最近はちょっと収入もあったしな」
今月の月収は280万円だ。リモーナ王女も道具とかを持っていけば買うって言ってたし、これからもっと得られる可能性もある。お金持ちを自称しても良いだろう。
尤も、リースの服はユニクロで買ってるから一式そろえても大した金額にはならないんだけど。
「ソラ様、こっちもどうですか?」
「似合ってるんじゃない?」
「ありがとうござ……きゃぁっ///」
今度はスカートだったので思わず捲ってみる。するとさっき買ってあげた、ちょっとエッチなデザインのショーツが見える。リースは突然の事に顔を赤くしてスカートを抑えるけど、少し考え直してからスカートの裾を持ってたくし上げ始めた。
「その……ソラ様が見たいなら、ご存分に」
「リース、お前は良い子だな。それも買おう」
俺はリースの頭を撫でてから、その服も買う事にする。そんなこんなでリースを着せ替えしながら上下セットを5着ほど買った。
その後、買ったばかりの服に着替えたリースと生活必需品を買いに行く。
と言っても歯ブラシと化粧水くらいだけど。
結局リースの諸々を揃えるのにかかった金額は7万円強。
思いの外下着が高値だった。その分、俺好みのえちえちなやつを揃えたし後悔はしていない。
買い出しを終えた頃には、丁度昼頃になっていた。俺たちは転移で家に帰った。
リースにキッチンの道具の使い方を教えたりしながら、昼飯も俺が作った。メニューはチャーハン。
家に肉がなかったので卵とねぎとニンニクだけが具材の質素な奴だ。
世の女に出せば十中八九不平不満が飛んでくるであろう手抜き料理に、しかしリースはその紅い瞳を輝かせていた。
「すっごく良い匂いがします! 何ですか? この美味しそうな料理は!」
「チャーハンって言うんだ。冷めないうちに食べてしまおう」
「はいッ!」
一口食べると、パラパラッと米が口の中でばらける。パラパラにするコツはちょっと多めに入れた油を高温で熱することだ。
味付けは塩と味の素。強烈なうまみ成分が脳に突き刺さるジャンキーな味だった。
「こ、これ。すっごく美味しいです! こんなおいしい料理初めて食べました!」
「それは良かった。きっとグルタミン酸ナトリウムが効いてたんだろうね」
「ぐる、たみんさん? なとりうむ?」
「要するに隠し味ってことだよ」
異世界には悪魔的な美味しさを実現する化学調味料なんて存在してないだろうし、砂糖が貴重なら塩だって貴重な可能性がある。
それも相まって、美味しく感じたのだろうか?
だとしても、大袈裟とも言えるリースの反応は作った側としては気分がいい。
「流石です! やっぱりソラ様は凄いお方ですね! ……こうしてソラ様の凄さを見せられ続けると、案外星7も本当のような気がしてきます!」
「案外って……一応、本当に星7なんだけどな」
ってか、まだ信じてなかったのかよ。
「そう言えば……ソラ様はまだ冒険者ギルドに登録するつもりはありますか?」
「え? なんで?」
「いえ、その……昨日、結局私がソラ様を疑って色々あってその――結局ソラ様の登録が済んでなかったのが気がかりになってまして」
なるほどな。俺に絶対服従になったとは言え、昨日までは受付嬢だったからな。
俺を頭ごなしに疑ってきた辺りリースは頭が固そうな反面、真面目そうだしな。
「なるほどな。一応、登録はするつもりだぞ? あっちでの身分証も欲しいし、冒険もしてみたいし」
「それが良いと思われます。……ソラ様ほどの力があればどんな依頼でも熟せるでしょう。そんなソラ様が冒険者にならないのは世界の損失です」
「……って言っても危険なことはしないぞ?」
「構いません。気まぐれに狩っていただくだけでも十二分です」
……まあ、それで良いなら別に良いけど。
「それで、その……ソラ様。可能なら私も一緒に連れて行って欲しいんですけど」
「当たり前だろ」
リースがいた方が話もスムーズになるだろうし。俺はリースの手を取りながら、ギルドの光景を思い浮かべる。あの酒場のようなギルド。
転移したその瞬間に、冒険者たちの視線が集まった。
「おい、あいつは昨日の……」
「って言うかリースさんも居るぞ」
「なんかリースさん結構いい服着てね?」
「あいつ、あんなひょろい身なりして貴族か何かだったのか?」
ざわざわと冒険者たちが勝手に噂しだす。
すぐに俺たちの存在に気が付いたのは、気配でも察知してるのだろうか? そんなことを考えながら辺りをキョロキョロしていると、奥の方から恰幅の良いどっしりとした大男がこちらに向かって歩いてくる。
「ギルドマスター」
リースが小さくつぶやいた。リースにギルドマスターと呼ばれたその男は俺の目の前に現れるなり膝をついて土下座する<(_ _)>
「頼む、後生だ。リースを自由にしてやってくれ!!」
額を地面に擦り付け土下座しているはずなのに、その男からは言いようのない圧力のようなものを感じた。
少し怯みそうな俺の前に一歩出てリースが言う。
「嫌です。私は、ソラ様とずっと居たい……」
どうやら、肝心のリースが俺から離れる気は毛頭ないようだった――
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