第84話 アオは絶望する

「えーと、予言通りなら勇者とその御一行がスヘラ様の影武者を殺した後だったな確か、まあ無駄な時間を浪費してくれてありがとう、じゃ良い終末を楽しんでくれ、はぁ全く研究で忙しいのに録...」

「え?」

「は」

「...」


混乱であたまがいっぱいになった、え?え?じゃあのほんものすへらは?え?。


「アオ...がん...ホムラを...」

「エリアスお姉ちゃん!!息をしてよ!何でよ!!」

「アオ!辞めなさい!もう...」

「何でよ...ホムラもお姉ちゃんも皆んな...私が関わったせい?」

「とりあえず帰りますわよ...」

「分かった」

「何で2人とも冷静なの!!」

「冷静じゃないから帰るのですわ」

「そうだ」

「私はもうどうしたらいいのか分からないよ...」

「魔族の兵が集まる前にエリアスをせめて人間側の領地まで...それが今アオのやるべき事もすわ」

「分かった...」


■■■■■


僕はアオを妹のように思っていた、だから僕はアオと仲良くなった時から、アオの為に生きようと決めていた、僕が死んだら弟か妹が助かるから。

本当はもっとずっと...一緒に居たかった...でもごめんアオ...僕じゃなくて...ホムラを助けてあげて...。


■■■■■


夢にお姉ちゃんが出てきた気がした...。

そして私達は前線まで戻って来た、やけに人が少ない。


「おかえりなさい、皆さんかなりお疲れだと思いますがまず聞いて下さい」

「戻りましたわ、どうしました?ミラ」

「街がスヘラ女王によって攻撃されているそうです」

「嘘でしょ?」

「だいたいの軍団長は街へ早急に応援に向かいました、残っているのはアンドリュー様とヴィクトリアの軍だけで、王様も急いで救援に向かわれました」

「頭の痛くなる話ばかりですわ...」

「帰ってきて早々ではありますがメェーニャ様達のお話をお聞かせください」


■■■■■


「そうですか...エリアスさんが、勇者様お辛いでしょうね」

「本当に...酷い話ですわね」

「ええ...アオ、あまりお喋りにならなくなってしまって...」

「うむ...」

「私だけでも街に向かいませんと行けないですわ」

「アオには私から話をしておきますわね?」

「お願いしますわ、ヴィクトリア」


■■■■■


私はどうして周りの人を救えないのだろう、どうしてもマイナスな気持ちになってしまう、ああすればよかった、こうすればもっと上手くいった、後悔ばかりに頭を支配されて泣いて悲しい気持ちになって。

異世界に来てから泣きたい日も本当は多かったけど、何とか頑張って耐えて来た、今回も同じように私は耐えようと思ってもダメだった、話す気力も無くなって日に日に食欲も無くなって行くんだろうか、生きてる必要何てあるのかな...そんな事を考えてしまう。


コンコン

「失礼しますわ」

「...」

「アオ、メェーニャが明日街へ行くそうですわ」

「...」

「アオ、守るべき人が居無いなんて事はないですわよね?」

「...」

「それにホムラはどうなりますの?」

「あ...」

「今も貴方を貴方の事が好きな2人が見てるかも知れませんわよ?」

「うっ...」

「私は部下も同期も死んでしまって辛く苦しい夜を過ごした事もありますわ、でも私が進まないと死んでいった皆んなに死んだ時に顔をちゃんと胸を張って見せられないですもの、だから私はアオ、貴女に乗り越えて欲しいんですの、頑張れとは言いませんわ!貴女が決めるといいですわ!」


そう言ってビィクトリアは部屋から出ていった。


「明日の朝...」


私に残ってる大切な人...守らなければならない人達...まだまだ沢山いる...だから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る