第62話 アオと進海 蒼
「おぉー!!!来たぞ!!」
「おっしゃあ!!」
「もう!本当に!本当にめんどくさい!!何で?!やられてくれないの!!やっちゃえ!!」
「攻撃陣形!散開!囲うように散らばっていけ!」
「了解!あいつにやっぱり副団長任せて良かったぜ!」
「何で!何で怯まないの!?」
「人型の触手や酸性の液体は強力で嫌だがな!!こちとら修羅場をくぐって来た数が違うんだよ!!」
「触手ちゃん守って!!あぁみんなやられていく...私の友達が...」
「お前でラストだ!!」
次の瞬間団長アルデバの姿は消え、アザスは走馬灯を味わっていた。
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私は何も出来なかった、親も友達も居なかった、居たのは触手ちゃんだけだった、何もかもが憂鬱だった、女の身体産まれたのを呪った、男の人に〇〇をされたから、お父さんもお母さんも人間に殺された、でも全てがどうでも良くなった、壊れた私に救いは無いのだから。
「あら...貴方いい目をしているわねぁぁぁ!!!」
こうして私はスヘラ様に拾われた、嬉しくも悲しくも無かった、でも少し救われた気がした、私には珍しく触手を操る才能があった、魔法は使えないのに、だからスヘラ様の言われるがままにやった、面倒だけど頑張った...お父さん、お母さんもう疲れたからいいよね?。
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「瞬脚大切断」
「お...や...す...みなさ...」
「人を弄んだのは許さないが今は安らかに眠るといい」
団長は何かを察したのか、声をかけてトドメをさした。
「団長無事ですか!?」
「とうぜんだろ!!舐めているのか!!」
「やっぱり男には厳しいだよなぁ団長」
「なー」
「団長!!」
「ああ、アオの事だな!!早く助けよう!!だが場所が分からん」
「俺分かるかも知れません、感ですけど!」
「よし!ホムラお前に任せる!!」
「えぇ」
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痛い...苦しい...気持ち悪い...それでも声は止まらない...洞窟に響き渡る喘ぐ声...助けて...怖いよ...。
「アオ!!」
ああ...私助かったんだ...ホムラ...そして意識はまた途切れた。
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「アオ!!アオ!!」
「ホムラ?」
「ごめん...間に合わなくて...」
「じゃあ...責任取って?」
「え」
「俺たちは離れてるか...女の人の扱い分からんな...」
「団長弱気にならないでくださいよ!」
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「アオどしたの?」
「私汚されちゃったから...もうダメかと思ったの」
「...大丈夫だよ、今はゆっくりと休みなよ」
「うん...私疲れちゃった、寝るね」
ホムラは気が付いた、アオの男らしさが全て消えた事に、もう異世界に来たはじめの頃の彼は消えたのだと。
「はぁ...とりあえず布羽織って貰おう...目に毒だな」
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アオの中
「お別れだ...」
「うん...」
「俺はもうすぐ俺じゃなくなる、だからお前に全てを託すよ」
「わかったわ...寂しいけど...こうなる運命だったのかもね」
「ああ」
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あれ?夢を見た気がする...忘れてしまったけど、私は...うん分からないけど前を向いて進まないと...。
「アオおはよう」
「ホムラおはよう」
「アオだよね?」
「アオだよ?どうかしたの?」
「じゃあ聞き方を変えるね、進海 蒼?」
「違うよ?私はアオだよ」
「うん...ごめん」
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「すまないがアオ嬢、この子達を見て貰えないか?あんな事があった後にすまない...けど見てくれないだろうか」
「分かった、皆んな辛いだろうしお話して見ます」
「すまない...」
私はアルデバ団長さんから傷付いた女の子を見るように言われたので、出来ることは少ないかもしれないけど頑張ろ。
こうして初のアオの魔物狩りの遠征は幕を閉じたのだった。
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「あら...やられてしまったの!あの子まあ期待はして居なかったの...ああ!!でもでも!!!可哀想!!!!!敵討ちくらいはしてあげるわぁぁぁ!!あぁさよなら」
「大将名前忘れちまったんですか?」
「まあいいじゃない!!忘れる時も忘れない時もあるのだから!!」
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