第45話 進海 蒼は魔法の言葉を考える

「アオ、お前さんは魔法の発動時の言葉も考えておきな、私は命令だがお前さんには向かないだろう、本人のイメージや気持ちが入りやすい言い方で言うんだよ?魔法の練習をしながら考えておくんだね」

「はい」


いきなり言われだがどうしたらいいものか、確かに命令する形なのは好きではないけど...。


「じゃ私は戻るからね」

「え?」

「老いぼれにずっと立ってろって言うのかい?酷い勇者だね」

「いえ...」


これが理不尽か...こうして俺は大人になっていくんだろうなと思った。


■■■■■


結局今日は思い付かずに終わってしまった、明日も考えてみよう...。


今日も考えられなかった、明日には考えて付くだろう。


今日も結局考えたが俺にあった言葉を見つける事が出来なかった...後3日しかない。


今日も考えても思い付かない...どうしたらいいのだろうか?。


今日も考えたが思い付かなかった...デュオスさんには「アオ、自分の意思がバラバラ何だろ?私から見たらお前さんは2つ自分があるように見えるよ、どちらか選びな」と言われた、どういう意味なのだろうか?...。

そしてその夜俺は夢を見たのだ。


■■■■■


「アオ好きだ、俺と結婚してくれないか?」

「はい...喜んで」


大勢の人に囲まれて素敵な白いドレス、心臓はバクバクだけど、幸せな気持ちが溢れてくる。


「アオ、子供は何人欲しいかい?」

「2人が良いは貴方」

「ああ、幸せな家庭を築こう」


幸せな未来予想図、私と旦那さん子供も一緒に家庭を築いていきたい。


「アオ好きだ」

「私もよ」

「ハァハァ」

「ンっンっ」


肌を重ねるたびに幸せが溢れてくる、ずっとこんな時間が続けばいいのに。


「私達の赤ちゃん...早く産まれて来てね」


膨らむお腹に私達の幸せ、女の子になれて幸せ。


■■■■■


ここで俺は飛び起きた、俺なのか私なのか自分はどちらなのかデュオスに言われた通りだ、今の俺はどちらなのか分からない。

夢も俺じゃなくて私だった、気が狂いそうだったが保たなくてはならない。


■■■■■


「おはようございます!アオ様!」

「おはよう...」

「アオ様大丈夫ですか!?」

「変な夢を見てね...疲れちゃって」

「アオ様教えてください」


こうして洗いざらい全て話した、話したら少し気分は楽になった。


「私には分からないですね...でもアオ様どちらも自分でいいじゃないですか、自分が2個あってもそれは両方とも自分だと私は思いますよ?」

「ありがとうセリアさん」


私も俺も自分だもんな...言葉を考え過ぎておかしくなってたみたいだ。

好きな方に寄せて言葉を作ればいいんだ、簡単な事じゃないか。


■■■■■


「アオ言葉は出来たかい?」

「はい出来ました」

「じゃあ使ってみな」

「はい」


そう身体は私なのだから言葉も。


「お願いします!「ウォーターボール」」

「出来たようだね...」


こうして明らかにデカく速い状態ウォーターボールを撃つことに成功したのだ、これが言葉の力か。


「アオ、何それ」

「エリアス先輩には内緒です」

「むー」


エリアス先輩にはすまないけど教えられないんだ!許して欲しい!と思いつつ。


「アオ、まさかあんたがお願い系にするとはね、私は男ぽいから、命令形にするかと思ってたが」

「あはは」


結局女の子が妖精にお願いする見たく言って見る事にしたのだ、魔法を妖精に見立てお願いするイメージだ。

自分の中の女の子も喜んでいる気がする。


「最終日に出来て良かったよ、私が教える事は何も無さそうだね」

「ありがとうございました」

「僕、アオ、居れて良かった」

「何でこんな所にまた魔族が!アオ!エリアス逃げな!」

「え?」


空を見ると4人程ファイヤーワイバーンに乗った魔族が居たのだ。

しかし1人だけ乗ってのが明らかに違う。


「ドラゴンに乗ってるって事はスヘラ直属の家臣だねありゃ」

「お!婆さん!よく分かったな!俺の名前は鬼丸 龍だ!スヘラ帝国スヘラ様直属家臣が1人!妖刀の鬼丸だ!」


こうして俺達は突如現れたスヘラ帝国の家臣を名乗る魔族と接敵する事になったのだ。

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