第46話 進海 蒼は始まりを見る

「お!勇者も居たな、部下がデュアルに負けて泣いて返ってきたもんだからな!お前を狩らせても」

「行きな!『ウォーターカッター』『ウィンドカッター』アオ達はさっさと逃げな!足でまといだ!」

「え」

「アオ様逃げますよ!」

「でも!デュオスおばあちゃんが!」

「アオ様、大丈夫ですよ...安心して下さい、きっと勝ってくれますよ!」

「分かった」


俺達は屋敷の方へ逃げた、幸いにも運転手さんが馬車の用意をしてくれていたようだ。


「皆さんつかまってて下さい!」

「私もお手伝いします!『ウィンドランナ』」


馬車は加速して走り出す、俺達は王都へ向かったのだ。


■■■■■


「全く喋ってる時くらいは魔法撃たないで欲しいわ」

「ふん!黙りなこっちは聞いてられる程身体が強くないんだよ!死にな!『ポセイドンランス』『ウィンドカッター』」

「じゃこっちもやらせてもらうか!お前達は勇者を追え!」

「了解しました!」

「承知しました!」

「妖刀鬼神行くぞ!かき消せ!オラッ!」

「魔法が消されただって!?厄介だね!」

「これが妖刀鬼神の力だ!消し潰せ!」

「全くアオには見せられなかったね、奴らを逃がすな!開け!『アクエリアスフィールド』」


ウォータールームの上位魔法がついにその姿を表す。


「(やってくれたなあのばばあ!俺の部下全員溺れてやがる!)」

「(ウォータールームと違ってこの魔法は水を操作出来る、本当は見せたかったんだけどね...奴らの周りを圧縮しろ)」

「(助けて下さい!鬼丸様...)」

「(クソ!ふざけやがって!本気を出すか...覚醒しろ鬼神」


次の瞬間辺り一面の水が消えた。


「こりゃかなわないね...」

「お前許さねぇ!部下を殺しやがって!」

「黙りな!『シルフサ』」

「お前もういいわ死ね」


次の瞬間デュオスの視界はズレた、そして見た景色もそこまでだった。


「正直舐めてたがここまでやるとはな!怒りが収まらねぇ!屋敷の人間捕まえて帰るか」


■■■■■


「ああ、今思えば後悔だらけの人生だったねぇ、母親は病気で死に治す事は出来ず、父は産まれた時から居なかった、冒険者時代の恋人も私が守れず腕を失い別れた、でも最後にアオを勇者様を守れたから良か...た...」


■■■■■


後方で大きな爆発が起こった、普通じゃ有り得ない音だ、不安は止まずふと顔を触ると俺は泣いていた。


「アオ様大丈夫、大丈夫ですよ...泣かないでください...アオ様が泣いたら私だって...」

「アオ、セリア大丈夫...」


その後皆んな泣き続けた、幸いにも魔族はおって来ず王都に帰る事が出来たのだが。


「アオ様おかえりな、何故泣いて居るんですか?」


メェーニャがたまたま迎えの為に来ていたので俺は泣きながら理由を話した。


「えぇ!?デュオス様がスヘラ帝国の家臣に!?直ぐに確認をさせます!」


■■■■■


そして俺達は次の日聞いた話はこうである。

デュオス様が死んでいた事を確認した、屋敷は壊されもぬけの殻だったそうだ、本来は俺達の行きも帰りも護衛が着くはずだったらしいのだが、何故かその情報は伝わって居らず後で伝達役の人の死体が見つかったそうだ、魔族に襲われた情報も初日に鳥を使い送ったそうなのだが、届いて居なかったそうだ、勇者の行先もやる事も全て魔族にバレていた事になるしかも王城内に裏切り者が居るという最悪な自体だ。


「デュオスが殺られた!これはゆゆしき事態である!戦争を1年後ではなく更に早めるのだ!これは今まで死んできた同胞の弔の為でもある!」

「ウォー!!!!」


こうして小競り合いはやって居たのだが、戦いの激しさは苛烈をましこれが大戦の始まりとなるのだった。

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