第26話 進海 蒼とエリアス

食事後


「今日、夕方帰る」

「エリアス、夕方食はいらないのかい?」

「いらない」

「分かったよ」

「アオちゃんには、悪いものを見せてしまったね、ただあの子の事は外では黙ってくれると嬉しいな」

「分かりました」

「助かるよ」


■■■■■


食事を終えた俺とエリアス先輩はエリアス先輩の部屋に来ていた。


「ごめん、良くないところ見せた」

「先輩は謝らないでくださいよ」

「途中で来た、あの子は妹」

「妹さんなのに何であんな扱いを?」

「僕の妹、アクア・プルート、魔法使いじゃない」

「それだけで?」

「アクア家、汚点、今まで女の子、生まれて、魔法使いじゃない事無かった」


貴族というものは複雑なのだろう、日本人の感覚なら普通に育ててあげればいいのにと思ってしまうのだが...。

本来なら、女の子の部屋に来た!やったー、となるはずがどんよりとした空気の中、静寂の中を時計の音だけが聞こえてくる。


「エリアス先輩はどうして今日連れてきてくれたんですか?」

「僕、友達とか出来なかった、居なかった、だから友達、出来た所、見せたかった」

「それで連れてきてくれたんですか」

「僕は、アオの事、勝手に友達、思ってる、でもアオ、どうか分からない、だから自分勝手、アオ利用した、僕は思う」

「私も友達だと勝手に思ってましたよ、自分の為に利用したなんて考えないで下さいよ」

「アオ、ありがと」

「こちらこそ」


ただ問題はエリアス先輩の妹である、下手に家庭の問題だし、気にしても何の対処も対応も出来ない、どうしたらいいのだろうか。

上手い落とし所で、妹さんを助ける事は出来ないだろうか?。


「アオ、妹の事考えてる?」

「そうです」

「気にしないで、僕が当主を継げば、助けられる」

「そうですよね」

「うん」


こんな時に対人経験が足りないのか、あまり言えない自分が恥ずかしい。


「アオ、これ見て」

「綺麗ですね」

「うん、僕はこういう置き物を眺める、好き」


魔法道具店で買った、置き物が光ながら回って居たのだ、魔力を使い動かしているらしい。

眺めていたらセリアさんが言って居た事を俺は思い出した。


「エリアス先輩」

「アオ、どうしたの?」

「そう言えば弟さんいますか?」

「居るよ、騎士の学校に行ってる」

「どんな弟さん何ですか?」

「ん、真面目?」

「真面目ですか」


エリアス先輩の弟に対する印象が薄い気がする...、弟さんもきっと家には居ずらいだろうなと、この家を見ていて俺は思った。


■■■■■


エリアス先輩と色々と話をしたりトランプをしていたら、夕方になってしまった。


「もう帰るのかい?」

「帰る」

「エリアスにはゆっくりして居て欲しかったですのに」

「サダルもそう思うよな」

「じゃ行くね」

「ありがとうございました、アクア家の皆さま」

「アオちゃんは、好きな時に来てくれて構わないよ!娘のように思っているから」

「はいありがとうございます」


複雑な心境だけを残し、こうして俺は、初めての楽しいはずだった、女の子の家に遊びに行くのを終えたのだった。

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