Another20 ある日の2人

錬は走り回りようやく瀬那を近くの公園で発見する。



錬「瀬那!」

瀬那「…グスッ…錬さん…」



涙の跡を見る限り相当泣いていたようだ。



瀬那「私……おじいちゃん…おばあちゃんに何も…」

錬「なら、諦めるか?」



何か言いかけていたが、錬は何となく理解していた。

そして、錬の問いに瀬那はブンブン首を振る。



錬「おじいさんとおばあさんを助けたいけど、自分には何もできない…。不治の病となれば細胞崩壊症。細胞崩壊症は現状では治療不可、薬も効かない病」

瀬那「ッ!私に何もできない事実を突きつけに来たんですか!」



キッと錬を睨みつける瀬那。



錬「ふぅ…」



錬は一息つくと、両手で瀬那の顔を挟む。



瀬那「むぐぅ…」

錬「さて、質問だ。目の前にいる人はどんな人だ?」

瀬那「信条…錬さん…」

錬「正解。では、その信条錬はどんな魔法を使えるでしょうか?」

瀬那「えっと…私の知らない…魔法?」

錬「半分正解で半分外れ。俺の使う錬金魔法…もとい錬金術は今の全ての魔法の原型とされてる。で、一度だけ君の前で細胞ごと消滅した人を元通りにした事がある。⚪︎か×か」



瀬那は少しだけ考えるとハッと思い出し答える。



瀬那「ま…る?」

錬「正解。さっき、2人の進行状況を確認されてもらったよ。まだ、ギリギリ間に合う」

瀬那「本当!?」



詰め寄ってきた瀬那に錬はただしと付け加える。



錬「前も見た事がある通り、病気に侵されていない新鮮な細胞が必要だ」

瀬那「でも、2人は…」

錬「そう、全身でその症状がでているからかなり厳しい。今の俺の力じゃ若干の延命が関の山。近しい遺伝子を持つ人で細胞崩壊症を発症していなければほぼ完治まで持っていけるはずだ」

瀬那「じゃあ!私の!」

錬「君の細胞じゃダメだ。適合しない恐れもある」

瀬那「どうして!?」

錬「できれば、血の繋がりがある親兄弟…そして子供。それが条件になる」

瀬那「それじゃ…お母さんのみ…」

錬「現状そうなるのかもな…。君の家の事情も聞いた。どうする?」




錬は瀬那に問いかける。

その問いはかつて自分を捨てた家族と再び対峙する覚悟を聞く為。



瀬那「私は……」



最初は下を向いていた瀬那は、覚悟を決めたように顔を上げた。

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