第160話 彗星の破壊

魔物と魔獣の群れは数の割には大したことは無かった感じがあり、直ぐに殲滅は完了する。



錬「蒼穹!聞こえるか?他の魔装砲の様子は?」

ソアラ『こちら蒼穹。錬さん、魔装砲なのですが今現在無事が確認出来ているのは9基…最低限必要な数を1つ下回ってます…。どうしますか?』

錬「そんな…。いや…、でももしかしたら…。ソアラ、全魔装砲に発射の指示を!」

ソアラ『分かりました』



ソアラは通信を終えると各国へ通信を行う。

そして、合図をすると各国から彗星へ向けて一条の光が伸びていく。

その光たちは彗星を確実にとらえ、破壊する。

だが…



錬「やっぱり火力が足りなかったか!」



そう、彗星は完全には破壊できていなかった。

半分以上は破壊できていたが、まだ結構な大きさが残っている状態であったのだ。



スカイ:このまま彗星が地上に落下した場合でも相当な被害が予測されます。

錬「わかってる!」



もう打つ手もほとんどない状態。



リコン「さあ、彗星よ!この世界を滅ぼせ!」



リコンは徐々に迫って来ている彗星に向かい、手を挙げる。




錬「くそ!リコンの装甲を倒してもこのまままじゃ!」




彗星を引き寄せているリコンの機体を撃破し彗星の大半を破壊するも、地球の引力に捕まった残りの彗星は真っ直ぐにこちらにくる。彗星の大半を破壊したが未だ人類の破滅の危機は迫っている。

もう軌道の修正もままならない今、彗星が目視出来る全人類はもう絶望しかないように思えていた。

ただ、一人を除いて。



錬「スカイ!彗星の地球までの衝突の時間の計算を頼む!」

スカイ:了解しました。現在の場所から視認によるものと、衛星の観測データからの推測だとおおよそ衝突まで残り1時間程です。

錬「1時間…それが俺たちに残された時間…。やるしかないのか!」



錬の飛燕もリコンとの戦いで万全と言えない状況。



錬「龍の顎のチャージ状態…45%か…さっき魔物と魔獣をやったときに使ったことが仇になりそうだ…。フルパワーで撃てれば…いや…アレをもう一度使えばフルチャージ以上の威力を!」

スカイ:推奨できません。今のマスターの身体状態ではオーバードライブをいくら維持できるかわかりません。発動した瞬間、またはチャージが完了する前に気を失う可能性があります。

錬「だが、他に方法は!」

スカイ:一つだけ、破壊できる確率を上げる方法があります。

錬「なんだ!?」

スカイ:ニエドクラスの大きさの機関を暴走させ彗星へぶつけることができれば魔装砲と同等の威力の爆発を起こすことが可能かもしれません。

しかし、機関を暴走させるだけの魔力とマナが足りない状況です。



錬は苦虫を嚙み潰したような表情をみせる。

この状況を打開するには、瀬那を巻き込まなければいけないという結論が彼の中で出てしまったからだ。

できれば彼女を戦場に出したくないという思いがあったが、今の状況では頼らざる得ないという所まで追い詰められていた。



錬「俺は…」



飛燕のコックピット内で錬は拳を強く握りしめ、自分の無力さを痛感した。





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