第155話 甦る恐怖

病室で目を閉じた錬は直ぐに目を覚ます。

ここ最近、そんな感じが続いていた。

夢に見るのはルナやウルドラを失った光景…そして、先日の三賢者が命を失った戦い…。

どれも間近で見ていた錬。

地球の破滅までのカウントダウンやリコンを倒せなかった事様々な要因が重なり、寝ても覚めても悪夢を見ているそんな感覚に陥っていた。




錬「ッ…ウゥッ…」



声にならない声をあげる錬。

個室の為誰も聞いていないと思っていた。



瀬那「錬さん…」

錬「ッ!?瀬那!?」

瀬那「大丈夫です。私だけですから…」

錬「…………出てってくれ…」

瀬那「嫌です」

錬「1人にしてくれ!!」

瀬那「ダメです!錬さんは1人にするといつも無理するから…」




瀬那は病室へ入ると錬のベッドへ深く腰かける。




錬「俺は…」

瀬那「わかってます。辛かったですよね……。今は甘えていいんですよ?」

錬「俺はっ!結局……何も守れなかった!」

瀬那「…………」




瀬那は上半身を起こした錬の頭を優しく引き寄せその頭をゆっくり撫でる。




瀬那「今はいっぱい吐き出して下さい。私が…受け止めますから…」

錬「うぐっ……あぁぁぁぁ!!」




瀬那の胸に縋り、泣きじゃくる錬。

瀬那はただ、それを優しく受け止めていた。

そして、瀬那は心に浮かんでくる歌を優しく歌い始める。

泣きじゃくっていた錬はいつの間にか瀬那の膝の上に頭を乗せ、規則正しい寝息をたてて寝ていた。




瀬那「おやすみなさい…錬さん…」




寝息をたてる錬を瀬那は少し微笑みその顔を撫でた。




病室の外では多数の人が入るタイミングを失い詰まっていた。




ウル「どうやら心配はなさそうだな…」

琳「だな…彼女に任せれば大丈夫そうだ」

綺「そうだね。私達は私達の仕事をしよう!」



そう言って、戻っていくハバキリの面々。



エリゼ「瀬那…いつの間にか彼を支えられる程大人になって…」

遙「私達もお邪魔だから後にしましょうか?」



心配になってついて来ていたのだろうエリゼや遙も中の様子を見て後で来る事を決めたようだ。



紗菜「やっぱり敵わないなぁ…。でも、私には出来ないかもね…」

渉「瀬那ちゃん、兄さんには必要な人なのは確かかもね…」

誠「我々も後で会いに来るとするか?」

玲「そうね。ドワーフの里なんて滅多に来れないから少し観光してましょうか?」

朱莉「お母さん…呑気だね…」

彩芽「でも、今は2人にしておくのが良さそうですね」




親しい人達も2人の様子を見て入るのはよそうと決めたようだった。

そして、その日練は久しぶりにゆっくりと休む事ができたという。

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