第139話 開戦前夜
装備を確認後、南極大陸へ向かう事になったハバキリの面々。
ニエド内で錬を除く他のメンバーがミーティングルームに集まっていた。
瑠衣「皆さん集まりましたね?」
そんな瑠衣の言葉に首を傾げる人が数人いた。
梁「信条がいないようだガ?」
瑠衣「彼には自分の装甲と皆さんの装甲のに追加されたフライトユニットの最終確認をしてもらっています」
琳「……今回の戦いに錬を出さないつもりなんですね?」
瑠衣「よくわかりましたね」
その場にいたほとんどの人がその言葉に驚愕していた。
ウル「驚く事じゃないだろう?」
エリゼ「ですが、相手も恐らくレビアだけじゃなく行方がわからない魔族の7魔将の2人を出してくるのでは…」
ウル「そうだろうな」
ロアナ「それに、各国からいなくなったという手練れの装甲乗り達が姿を現していないのも気になります」
リーナ「もし、敵方にかなりの戦力があるのであればこちらも出し惜しみしている場合では…」
マキシム「最大の戦力の温存。そう出来るように俺たちはこの4年間特訓してきた」
クレア「最大の戦力…信条錬さんの事ですか?」
瑠衣と装甲乗り達は全員頷く。
瑠衣「リコン…あの者の力は未知数です。もしかするとここにいる全員でかかっても倒せるかわからない相手です」
梁「リコン…確かに奴は異質だっタ」
ラウ「4年前、奴の乗った装甲と戦ったが俺たちは瞬殺された」
マキシム「4年前お前たちの装甲が再起不能までやられた原因はそいつだったのか!」
頷く梁とラウ。
ウル「それだけじゃない。その後に俺たちの前に現れその場にいた全員に対して実体化させた魔法剣を突きつける脅しをやってきた」
琳「それだけじゃない。それを保持した状態で錬単体にはまた違う魔法を使っていた感じだった」
綺「魔法…あれも私達の使うものとちょっと異質な感じがした…。そう、どちらかと言えば錬が使うのに近かったと思う」
エリゼ「信条くんに近い…確かにそうかもしれないわね。普通なら魔力を消費する魔法を行使すると少なからず相手の魔力の揺らぎが感知できる。だけどアイツにはそれがなかった…それよりも突然現れたことも驚きだったけど…」
未知数の力を持つ敵、リコンの話になりまだ実力を隠していると感じた皆は一様に沈黙する。
瑠衣「ですが、私は錬さんならリコンを倒せると思っています」
クレア「そういう事でしたか…。つまり、リコンが現れるまでは信条くんを温存しておくと言う事ですね?」
ウル「それもあるが俺たちは錬に頼りすぎだったんだ…」
琳「アイツがいるから大丈夫だと何とかしてくれると甘えていたと思う。それじゃ、ダメだ!アイツがいなくても何とかしなきゃいざとなっても何もできない!」
全員力強く頷く。
瑠衣「そういった経緯もありますので、南極で戦いになるのであれば、まだ現れてない強敵と戦闘になるのはほぼ確実でしょう…。苦戦するかもしれません…皆さんよろしくお願いします」
そして、会議は終了し各々の部屋へと戻る事になったのだが、琳とウルは何か思うところがあったようで錬の部屋の前に来ていた。
ウル「お前も用事か?」
琳「まぁ、考えている事は多分同じだろうが…」
ウル「だが…」
琳「心配いらないようだったな…」
部屋の中から聞こえてくる話し声を聞くに恐らく彼女に電話しているのはわかった。
琳「終わるまで待ってからかってやるか…」
ウル「フッ…それは面白そうだな…」
そして2人は錬が電話を終えるまで部屋の前で待っていたのだった。
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