第137話 2008年 ③頼れる人

祝いの席は大いに賑わっていた。

ステージでは瀬那達歌手勢が盛り上げ、料理はハバキリの面々が関わっていた国の料理が振る舞われたりしていた。

そんな席も夜も更けて、そろそろお開きになる手前、錬は1人校舎の屋上に来ていた。



「考え事か?」




錬は声をした方を振り向くと、そこには琳が屋上へ続く扉の前に立っていた。




琳「お前は昔から考え事をするときはこうして外を見渡せるところにくるよな…」



琳は錬の隣にくると柵に寄りかかる。



錬「今回は色々と考えないといけないことが多いからな…時間もあまりないし」

琳「俺たちの事は心配するな。これでもお前が寝ていたこの1年で自分で何とか切り抜ける実力はつけたつもりだ。だから、お前は自分のやるべき事をやれこちらも気にしてたら時間なんて足りないだろ?」

錬「だが…」

琳「俺だけじゃねーぞ?綺だってこの1年で武装を完璧に使えるようにしたし、ウル達だって各々の装甲の調整や改修を施した。部隊としての纏まりもほぼ完璧だと思ってる」

「そんなに俺たちが頼りないのか?」




2人が話している所へまた1人現れた。

屋上へ上がって来たのはウルであった。




錬「そんな事はないが…」

ウル「お前は背負いすぎだ。少しは俺たちにもその重荷を背負わせるくらいさせたらどうだ?俺らはお前に背負わされた事で簡単に潰れるようなヤワな存在じゃない」

琳「そうだぞ?少しは頼れ。俺たちだけじゃなく、皆んなもそう思ってるはずだ」

錬「……そうだな。いつの間にか自分1人でやらなきゃという考え持ってたのかもしれないな」

ウル「まぁ、今のお前は国内どころか世界にも通用する強者だからな…。そういう傲慢な考えになっても仕方ないか…」



ククククと笑うウル。



錬「なんだよそれ…。ふっ…ありがとう2人とも少し楽になった気がするよ」

琳「役に立てたのなら何よりだ」

錬「この事を言う為に2人とも来たのか?」

ウル「それもあるが、俺たちの他にも1人お前に用事があるそうだ」




ウルが屋上の扉を見ると、そこには1人の少女が立っていた。






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