第129話 限界の行使

錬「やるしか…ないか…。飛燕、魔法の術式の解読はどうだ?」

『マスター。解析は完了しました。どうやら強力な傀儡魔法の他にも呪詛魔法、更に隠された魔法を重ねがけしているようです』

錬「やはり、1回で全ての魔法を消さなければ皆が持たないかもしれないな…」

『しかし、今のマスターの状態では危険です。測定の結果、校舎を全て包む程の錬金魔法を行使するには現在この場にあるマナでは足りません』



それを聞いた錬はゆっくりと立ち上がり、瀬那に近づく。



錬「瀬那ちゃん…。君の力が必要だ…歌えるかい?」

エリゼ「ちょっと!それはっ…「歌えます!」」



涙を拭き、エリゼの声を遮る瀬那。



エリゼ「瀬那、あなた!」



エリゼは声を荒げるが、瀬那はしっかりと錬を見つめ答える。



瀬那「ハクが命懸けで私を元に戻してくれたこと。それに、今ここにいる人達を救えるのは私と錬さんだけだということもわかりました!誰かを救いたい、助けたいって想いが、今私の中に溢れてきて、頭の中に歌が思い浮かんでくるんです…。だから、やらせて下さい!」

錬「上出来だよ…。時間もない…1本勝負のぶっつけ本番だ!行くぞ!」

瀬那「はい!」



2人はエリゼから離れ、錬は魔法を行使する為の準備をする。

そして、瀬那が歌い始めると、苦しんでいた人々の呻き声が徐々になくなっていく。

歌声が響きわたるとそれに呼応するかのようにマナが濃くなり輝きはじめる。

濃くなったマナは普通の人にも見えるよう可視化されていた。




紗菜「綺麗…」

綺「すごい…マナが七色に輝いてるみたい…」



幻想的な光景に呆気に取られていた皆。



錬「これだけあれば十分だ!」



錬は地面に手をつくと学校を包むほどの巨大な魔法陣を形成する。



レビア「ば、馬鹿な…エルフの里の時よりも大きな魔法陣…だと?…こんなもの…発動すれば…いくら貴様でも…」

錬「死ぬつもりはないさ…俺も…皆もな…」



倒れながら、驚愕しているレビアを他所に錬は魔法を発動する。

すると、漂っていたマナは魔法陣へと吸い込まれていく。そして、眩い光を放つと苦しんでいた先生、生徒全員地面に倒れ規則正しく呼吸していた。



アスモス「ほ、本当に全て解除した!?」

レビア「や……やはり…貴様は……ゴフッ…」



もう、虫の息のレビア。

しかし、その瞳はまだ強く錬を睨みつけていた。




錬「…………」



立って意識を保つ事がやっとの錬。



「困るよ、レビア。君はまだ僕の計画に必要なのに…」



いつのまにかレビアの側にローブを着ている人が立っていた。

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