第128話 悪足掻き

瀬那が目を覚ますと、目の前にはエリゼと錬達が心配そうに見つめていた。



瀬那「私…」

エリゼ「気がついたのね…」

瀬那「そうだ!ハクは!?」



瀬那は周りを見渡す。誰もその問いに沈黙していたが、錬がその沈黙を破る。



錬「………ハクは君を助けて…逝ったよ」



錬は何かの破片を瀬那に手渡す。



錬「これはハクの魔核の欠片だ。君が目を覚ます直前までは原型を留めていたけど、目を覚ます直前で砕けてこれだけしか残らなかった…」



瀬那はそれを受け取るとギュッと握りしめ、涙を流す。



失ったものを弔う、そんな余韻に浸っていた一行だったが、ガラッと大きな音がすると瀬那を除く全員がそちらを見る。



レビア「馬鹿な!娘にかけたあの方の力を施した呪詛魔法が破られるだと!?クソッ!こうなっては計画が全て台無しになる…。こうなれば不完全だが…」

錬「奴を…くっ…」



何かつぶやいたレビアを止めようと錬は立ちあがろうとしたが、大きくふらつき上手く立ち上がれなかった。



「レビアー!」

レビア「ガハッ!」



いつの間にか回復したアスモスがレビアに魔法を放ち、レビアの体に風穴が空く。



レビア「く……クククク…。遅い…不完全だがこれで少しは計画が…」



まだ、洗脳が解けていなかった、先生や生徒たちが苦しみ始める。



ウル「貴様!何をした!」



ウルがレビアに詰め寄る。



レビア「ククク…普通であればこの人間共の魔力や命をゆっくりと時間をかけて…変換させる魔人召喚を促すつもりだったが…。効率は悪くなるが、その魔力と命をもって召喚する…のだ!不完全だとしてもな!だが、これで貴様らに一矢報いる事ができそうだ…フハハハハ!さぁて…何人救える…かな?信条…錬!そして、その仲間達よ!」



バタリと倒れるレビア。

苦しむ様子が段々と酷くなってきており、一刻を争う事は確実だった。



ウル「クソ!1人1人術を解いていたんでは間に合わない!」

芳沢「大変なの!校舎内の倒れてる生徒や先生達が苦しみ始めて!」



焦っていた所に更に追い討ちをかけるように芳沢が校舎の方からかけて来て告げる。

絶望する一行とは別に、錬だけは何か覚悟した表情で瀬那を見つめていた。

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