第123話 闇に染まる歌姫

果てなく続く闇。

その空間に1人ポツンと体育座りでいる人物。

七海瀬那。

ある時意識を失ってからずっとこの空間にいた。

心の中に浮かんでくるのは孤独と不安…。

そして、誰かの声が聞こえる度に湧き上がる感情は怒り…。



瀬那「誰か…ダレカ…」



その声もただ、虚しく何もない空間に響くだけだった。



私は目を開ける。



ーーーーーーさい!


時折聞こえる声のようなもの…それが聞こえる度私は怒りの感情が溢れてくる。

聞き覚えのある声にも感じたのだが。



ーーヒーーーン!



瀬那「?」



今度は声?だけど頭にぼんやりとその声のようなものの主が思い浮かぶような気がした。



瀬那「は……く……?何…?」



一瞬何かが思い浮かぶような気がしたが、次の瞬間ある声でそれはかき消えてしまう。



『そう、お前は私の声に従うだけでいい!やれ!』



そうだ、私はこの声の人に従わなければいけない。

私は目一杯の怒りを込めると、自分たちの周りに雷雲が形成され、辺り一面に落雷が走る。



『ふふふ…いいぞ!思った通りだ!上手く扱えば上級魔法にも匹敵する威力だ!』




私達の目の前にはそう、私達の敵である魔物や人間達が雷に打たれ地に伏していた。




やーーろ!



人間がこちらに向かって何かを言っていたが私にはわからなかった。

起き上がりこちらに突進してこようとした魔物がレビア様の攻撃でその身体を貫き、とうとう血飛沫をあげ動かなくなった。

私は何故かその光景を見て涙を流していた。

何故?なぜ?ナゼ?

わからない…ワカラナイ…



瀬那ちゃん!何をやってるんだ!



聞いたことのある声がワタシを呼ぶ。

ワタシは何故かその声に歌っていた歌を止めてしまう。

見たことあるひと?だれ?

おとこのひとは魔物に近寄っていくと、何かをはなしかけていた。

急に胸が締め付けられるように苦しくなる。



瀬那「い……や……」



『どうした?歌え!その歌で私達の敵を苦しめろ!』




ワタシはくるしめるためにうたう?



違う!君の歌は苦しめる為にあるんじゃない!



ちがう?なにが?わたしはくるしめるために、てきをたおすために?うたう?




俺にはあの時感じた!俺にはわかる。君の歌は誰かを救いたい…君の純粋な想いが成せる歌だ!




おもい?ワタシは…



瀬那「た…す……け……」

『チッ!やはり不安てになってきたか!ゆっくり調整できなかったから仕方がないか!壊れる恐れもあるがこの方法しかないか」



ワタシの横にいた人がワタシに手をかざす。

そして、ワタシの意識は再び深く闇に落ちていった。

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