第122話 ぶつかる想い

バキン!

琳達の目の前で繰り広げられる3人の戦い…それは上級魔法の応酬。

それを見ていた皆は呆気にとられていた。



並木「すげぇの一言だな…」

秋山「でも、信条くんは大丈夫なの?2人相手して…」

琳「錬のやつまだ余裕がありそうだな…こちらに影響ないように魔法を捌いてるからな。そういえばあの馬は?」

並木「さっき、外に出ていって戻ってきてないな…」

琳「2人共まだいけそうか?ここにいても錬の邪魔になりそうだ。外に出た連中を助けにいくぞ!」



琳の問いかけに2人は頷くと琳の後に続いた。



渉「俺は…俺は…兄さんの…為に…」

紗菜「私は…錬の…為に…」

錬「全く…お前たちの全てぶつけてこい!」



2人は錬に再び襲いくる。



錬「渉!お前は何の為に力をつけたんだ?」

渉「俺は…兄さんの為…自分の為…?」

錬「紗菜、お前は誰の為にその力を使おうと思ったんだ?」

紗菜「私は…錬の…為?私の…為?」

錬「もう、いいんだよ2人とも…。あの時の事は…。あれは俺が望んでやった結果だ!お前達が責任を負う事なんてないんだ…」

渉「だけど…俺は…」

紗菜「だけど…私は…」



自分に魔法を叩き込む為に近づいて来た2人の攻撃をいなした錬は、2人を抱き寄せる。



錬「俺は感謝してる…。あの出来事があったからこそ色んな人を救う事ができた。あの出来事があったからこそ今皆んなを助ける術を身につける事ができたと思ってる!どん底から這い上がる事が出来たのは2人が側にいてくれてたからだ!ありがとう!」

渉「俺は…兄さんを守ることが出来なかった…」

紗菜「私は…結局あの時学校でも助けになれなかった…」



先程まで戦っていた2人の目は虚な感じだったのだが、今はその目に力が宿っているようだった。



錬「もう、背負わなくていいんだ。後は2人の思う通り進めばいい!」

渉「にい…さん!」

紗菜「れ…ん…!」



2人の目には涙が浮かび、今まで秘めていた想いを吐き出すかのように泣き始める。

落ち着いた頃には2人は元に戻った様子で錬を見つめていた。



渉「ごめん…兄さん…」

紗菜「ごめん…錬…」

錬「全く、手のかかる2人だ!うっ…」

渉「兄さん!」

紗菜「大丈夫!?休んだ方が…」

錬「あまり、大丈夫じゃないが…他にもやらなきゃならない事があるからな…」

紗菜「…そっか。わかった!だったらここからは私と渉で錬をサポートする!」

錬「危険だぞ?」

渉「今更何を…覚悟はとっくに出来てるよ!」

紗菜「ごめんなさい、天風さん。先生、あとはよろしくお願いします!」

天風「…うぅん…。私も悪いから…バチが当たったと思ってる…」

芳沢「ごめんなさい。私も行きたいけど…外に行った残りの生徒達と先生達をお願い!」



錬達は力強く頷くと戦いが起こっているグラウンドへ向かって行った。



天風「凄いんですね…信条くん…達は…」

芳沢「ようやく理解した?きっと信条くん達なら大丈夫!最悪な結果を最高に変えてくれると信じてる!」




3人が出て行った出入り口を見て芳沢はそう確信していた。

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