第121話 救世主

琳「クソッタレ!魔族って比じゃないぞ!」

並木「これ…逃げてもダメなパターンだよな…」

秋山「信条くんこんな奴等と戦ってだなんて…」

芳沢「やめなさい!こんなことしても意味はないわ!」

ハク「ヒヒーン!」



芳沢は対峙していた生徒、天風に呼びかけるが彼女は不敵に笑みを浮かべるだけだった。



天風「フフフふ…もウ終わりかナ?そロそろ、殺しテもいいカな?」



ゆっくりと歩みを進めてくる天風にジリジリと後退りする一同。



ハク「!?」



その時ハクは何かを察し空を見上げる。



ドカン!


轟音が響くと共に、体育館の壁と天井が崩れ魔導装甲らしき機体が突き破り倒れてきていた。

どうやら一緒に倒れてきた魔法装甲と共に倒れてきたようだった。

琳はその魔法装甲に見覚えがあった。



琳「まさか!」



その見覚えのある魔法装甲から降りてきた人物を見て叫ぶ。



琳「なんで来た!」

「なんでって…こっち大変そうだったから最初に来てみたんだけどな…」

天風「シンじょう…れン!」

琳「お前!本当は寝てなきゃいけない身体だろうが!」

錬「そう言われてもな…寝てたらまた大事なもの失うかもしれないって言われたからな」

天風「なにヲ、訳ノわからないこトを!」



そういって攻撃を仕掛けた天風だったが、簡単に攻撃をいなされ壁に激突する。

すぐに立ち上がり魔法を繰り出すもその攻撃は錬に当たる寸前で全てかき消える。



錬「悪いな…あんまり時間をかけてられないから手短にいかせてもらうぞ!」

天風「!?」



錬は風の力を纏いもの凄い速さで天風の懐へ入ると腹に手を添え、魔法を発動する。



天風「ぐアっ!こ、コれは!あがあぁぁぁぁぁぁぁ!」



天風は断末魔のようなものを上げ倒れると、元の人間の姿へ戻り身体からは黒い霧が出て行く。



錬「7色の牙よ、その力を以って彼のモノを砕け!漆空牙エレメンタルファング!」

゛ギャァァァァァァァァ!!゛



凄まじい断末魔が響く。



天風「わ、私の復讐は…」

錬「虚しいだけだぞ…復讐なんて…。お前の気持ち俺もよくわかるけどさ…」

天風「あなたに…私の何が…」

錬「さっき、君に触れて分かった。いや、感じたのかな?俺も親に捨てられたも同然だ。藁にもすがる思いで手に入れた力は思うように使えない…だけど、死に物狂いで知識をつけ力をつけ今ここにいる。だから俺は自分を捨てた両親にも見返すことができたと思ってる。それに、この力を身に着けて今は誰かを助けることができてよかったと感じてる」

天風「・・・・」

錬「君は間違えただけだ、その力の使い方も見返す方法も…」

天風「私にも…私にも…あなたのように…理解者がいてくれたら…」

錬「だったら、俺が理解者になるぞ?俺だけじゃない…他の皆もな!」



そっとその手を差し伸べる錬。

天風はその手をとろうとした時だった。



天風「うぐっ!」



ドーン!

何者かに放たれた魔法が直撃し、天風は吹き飛ばされてしまう。


錬「先生!彼女の治癒を!」

芳沢「は、はい!」



錬は魔法を放ってきた2人を睨みつける。



錬「どういうつもりだ!紗菜!渉!」



そう、体育館へ現れた攻撃をしてきたのは弟である渉と幼馴染の紗菜であった。

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