第107話 収束する力
錬「うっ…く…。俺は気絶してたのか…。飛燕!状況は!」
飛燕:マスターハ数分程気絶シテオリマシマシタ。装甲ノ損傷ハ軽微デス。フィールドヲ張ル事ニ魔力ヲ消費シテイマシタノデ現在魔力残量ハ35%程デス。
錬「他の皆は!」
飛燕:現在、視界ヲ塞ガレ視認デキマセン。レーダー反応カラ推測。活動出来ル魔法装甲…1。反応微弱、近クニ生命体反応3。他ノ魔法装甲の活動反応…1。コチラハ反応カラ敵ト推測。再検索開始…
ドクン‥‥
錬にかつて味わったことのあった感情…。
失うことの恐怖…それが目の前に迫っている感じがあった。
それと同時に思い出す、意識が薄れゆく際に聞こえた仲間たちの声。
それを容赦なく叩き潰そうとした敵の姿…。
それを今一度思い出すと、今度は沸々と浮かび上がる別の感情があった。
そう、怒りだ。
その時に錬は不思議な感覚に陥った。
現在、視界は魔導装甲の残骸で塞がれているのにも関わらず、敵がいる場所と今何をしようとしているのかがはっきりと感じ取れた。
錬「邪魔だ…」
飛燕を動かそうとするが、魔導装甲の残骸が邪魔で動くことができない。
錬「邪魔だ!」
錬の叫びと共に周囲のマナが急速に飛燕に集まり出す。
飛燕:魔力残量100%…更ニ上昇中…計測不能!ケイソクフノウ!警告!コレ異常ノ魔力ノ変換ガ行ワレルト機関ガオーバーヒートシマス。魔力ノ制御ガデキマセン。警告…
飛燕が錬に警告を促すも錬にはその言葉は届かず。ただ一点敵がいる方だけを見ていた。
そして、機関が暴発する寸前、とある者が飛燕に語りかける。
??:目覚めてみるとこの状況か…。魔力の制御は私が担当する。君は機体のモードを全て開放して魔力を外に放出するようにしろ。
飛燕:非常事態ノ為、命令ヲ受ウケツケマシタ。シカシ、高速戦闘モードハ現在背部ノユニットノ破損カラ実行デキナイ可能性ガ高イデス。
??:真似事で構わない。今から言う工程を実行してくれ。
そして、飛燕は謎の声から伝えられたことを実行する。
装甲全身に魔力を行きわたらせ、強化魔法に近い状態にする。
飛燕:コノママ稼働スルト、機関ダケデナク装甲自体モ持チマセン。
??:大丈夫だ、こいつなら上手くやるはずだ…。それに…。
飛燕:反応、微弱…。
??:あぁ、今回はここまでのようだ…。気づいていないようだから錬には内緒にしててくれ。
飛燕:了解。
??:後は頼んだ。
そして、『邪魔だぁぁぁぁぁぁ!』との叫びと共に飛燕を埋め尽くしていた魔導装甲の残骸は飛び散る。
その様子を見たマグネスは一瞬驚いたようにその動きを止めこちらをみる。
辺りには仲間たちの無残な姿と、今にも黒鋼に対してとどめを刺そうとしている様子であったのだ。
黒鋼が何かを庇っている事に気づく。黒鋼を覆ていた魔導装甲の残骸が少し崩れそこを拡大するとそこにはちらりと倒れている遥とそれに寄り添う瀬那とハクが見えた。
それを見た瞬間、錬の中でプッツリと何かが切れる音がした。
錬「お前だけは!許さない!」
錬はいつもと違う感覚の飛燕を動かし、マグネスに肉薄する。
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