第106話 前兆
マグネスはすでに狙いを絞っていた。
そう、空を飛んでいるハク…それに乗る2人に。
彼女等を守っていた綺のルードも綺が気絶した瞬間に昨日を失って地面に落ちてしまっている。
ウルはマグネスが振りかぶった先にまだ逃げる事ができないでいた彼女達。
そして、無情にも彼女達めがけ、投げ出された魔導装甲の破片が襲いかかる。
しかし、寸前で大きな影が彼女達を覆う。
遙「ウルさん!」
ウル『大丈夫か?』
そう、彼女達を庇ったのはウルの乗る黒鋼だった。
だが、マーモはさらに魔導装甲の欠片を投げつけ攻撃をしかける。
彼女達を手に乗せ背中で庇うようにしていた黒鋼だったが、止まない追撃を受けとうとう空中から落下する。
ウル『ぐっ…。大丈夫か?2人共…』
瀬那「わ、私は大丈夫です!でも…」
遙が手の中でグッタリしていた。
ウル『遙っ!』
黒鋼:大丈夫だ。気絶しているだけのようだ。外傷も今の所は見当たらない。だが、このままここにいるのは危険だ…。
ウル『だけど、このまま奴の攻撃が続けば…』
黒鋼:全員命はないだろうな…。奴は俺たち全員を皆殺しにするつもりらしいからな。
今はプロテクションフィールドを張っている為、大きなダメージには繋がっていないが、残りの魔力残量も考えると庇いながら戦うのは無理な話だ。
ウル『誰かが目覚めてくれれば…』
ウルは微かな望みを口にしていた。
数分後…。
ついにその時は訪れた。
プロテクションフィールドが張れるだけの魔力残量がなくなり、無防備となった黒鋼に容赦なく魔導装甲の破片などがぶつかっていく。
絶え間なく続く攻撃と破片に黒鋼は文字通り動けなくなる。
ウル『ここまでか…。クソッ!』
黒鋼:………。
遙達は黒鋼が庇っていた為無事であった。
しかし、遙が気絶したことによりその場からまだ動けずにいた。
黒鋼の周りも魔導装甲の破片で埋め尽くされており彼女達もまたその中に閉じ込められていた。
反撃をしてこないと感じたマーモは黒鋼に向けてゆっくり歩を進めていく。
マーモは腕を大きな槌のように変化させ、黒鋼を一気に潰す事にしたのだ。
マーモの乗るマグネスは変化させた腕を振りかぶる。
マーモ「さらばだよ、邪魔者くん…」
そして、その振り上げた腕が下されようとした時だった。
大きな音と共にマグネスの背後のガラクタの山から立ち上がる1体の魔法装甲がいた。
マーモ「ほう…まだ動けたのか…」
ガラクタの山から出て来たのは飛燕…。錬の乗る魔法装甲であった。
だが、先ほどとは打って変わって飛燕からは殺気が留めんばかりに溢れてきているのがマーモにも感じ取れた。
一瞬その殺気に怯むマーモ。
錬「お前だけは…!絶対に許さない!」
そう錬が言い放つと飛燕はマグネスに突っ込んで行く。
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