第105話 苦戦

マグネスを相手取っていたハバキリの面々は苦戦していた。

マグネスにいくら攻撃を加えても、剥がれ落ちてくるのは吸収した魔導装甲のみ。

少しずつ小さくはなってきてはいるが、まだまだ本体には届きそうにもなかった。



ウル「錬、動力の魔力の回復はどうだ?」

錬「皆のおかげで50%ってところだな…」

梁「しかし、すごいものだナ。お前の開発したという動力炉ハ」

ラウ「反則級といっても過言じゃないか、動力部にしろ武装にしろ」

ミウダ「無駄口をたたく暇があるようなら皆大丈夫そうだな…」

マキシム「かといって俺らも連戦してる上に十分な補給はしてないから彼と同じくらいしか残り残量はない…」

琳「もしもの時は俺らに任せてあんた達は退いてくれ」

アミダ「バカを言うな!私達も最後まで戦わせてもらうぞ!」


それから数十分戦い続けている一行。


ラウ「残り30%か…いけるかな?」

マキシム「弱音か?」

ラウ「まさか!お前こそさっきよりへっぴり腰気味になってるじゃないか!」

マキシム「やるか?」

ラウ「おう!どっちがあのデカ物の装甲を多く剥がせるかやってみようじゃないか!」

ロアナ『ちょっと!2人とも!』



ロアナの心配をよそに2体は妙な連携でマグネスを攻撃していく。

マキシムが敵の側に切り込み、そこに攻撃を加えようとするマグネスをラウが狙撃でそれを阻む。

そして、皆の活躍でマグネスの吸収した装甲を半分程削った時だった。



マーモ「フハハハハ!頑張るな諸君!だが、その努力も無駄になる!」



その声を合図として、先ほどまで地面に力なく転がっていた魔導装甲の残骸達が再びマグネスに吸い寄せられていくではないか。

その様子を見た皆は絶望と言う表情を見せていた。ただ一人を除いて。

各装甲が棒立ちしていたのだが、飛燕は素早くマグネスに切り込む。



マーモ「貴様は絶望せんのか…。いやはや、君はつくづく我々にとってのイレギュラーだよ!」

錬「おあいにく様、俺は昔に絶望っていうのは嫌って程味わったからな!」

マーモ「ならば、再び絶望を味わってもらおうか!」



激しくなる攻撃に飛燕は被弾し吹き飛ばされる。

マーモの乗るマグネスはゆっくり回転をし始めると、何かが飛び始める。


ラウ「何をする気だ…ぐあっ!」

マキシム「くそっ!ぐっ!」

アミダ「これは…回避できない!」

琳「くぅぅぅぅぅ!」


マグネスは回転するとその纏っている魔導装甲を飛ばしてきたのだ。

次々に飛んでくる魔導装甲やその残骸を回避できず、皆被弾していく。

だんだんと回転が速くなるごとにその威力は増してきており、数機を除く魔法装甲はほとんど戦闘不能に陥っていた。


琳「あ…や…大丈夫…か…?」

綺「琳!」

マーモ「おや?まだ無事なやつもいたのかい?」

綺「えっ?きゃあああああ!」

琳「く…そ…あいつ。あ・・・や…いま・・・いく」



片足を引きずって吹き飛ばされた綺の元へ向かう琳の魔導装甲。

しかし、無情にもマーモのマグネスの攻撃によって桜流も吹き飛ばされる。



マーモ「さてと…。あとはあの空にいる蝿も落としておかないとね…」



そういって空を見上げるマグネス。

その様子を綺は見逃していなかった。

そして、大声で叫ぶ。


綺「2人共…逃げ…て!」



その叫びに気がついたのは無事だったウルの黒鋼だった。

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