第104話 総力戦

マーモの乗るマグネスが錬の飛燕に腕を振り下ろすのを間近で見ていたウル。

それはスローモーションのようにゆっくりと感じていた。



ウル「錬っ!」



庇う為にも立ちあがろうとするが、焦ったせいなのか上手く立ち上がれなかった。

このままではと思っていたのだが、マグネスが振り下ろした手は何かが砕ける音がした後、一度弾かれる。



ウル「あれは!」

黒鋼:あぁ、ルードの結界だ!

綺「ごめん、遅くなっちゃって!」

クルール「皆一旦、簡単な補給と補修を行ってきた」

ラナ「問題ないのかリーダー?」

ウル「あぁ、だが…」



マグネスの攻撃は一度弾かれたのだが、2度目の追撃をかけるべく、再び振り下ろす体制になっていた。


ウル「クソ!綺!もう一度錬にルードを!」

綺「ごめん、今使えるルードはもう…。でも、大丈夫!」



そう言う綺の声に応じるように2つの銃声が響くと共にマグネスの構えていた腕に当たり、バランスを一瞬崩す。

まだ、倒れる事はないが、それを好機と2機の魔導装甲がマグネスの両足を攻撃する。

たまらずバランスを崩してマグネスはとうとう大きな音を立てて後ろに倒れる。

悪あがきのように近くにあった岩を引き抜き飛燕に投擲するも、飛燕の前に現れた魔法装甲が槍でそれを弾く。



錬「梁さん!それにアメリカ代表とオーストラリア代表の!」

梁「大丈夫カ?」

マキシム「すまない、遅れた!」

ミウダ「今度は!」

アミダ「我々が君を援護する!」

ラウ「とりあえず上手くは行ったが次はこうはいかないだろうな…」

琳「だが、これだけの戦力があればやれる筈だ!」



錬の周りに仲間達が集まる。



錬「皆んな…。ありがとう!」

ウル「礼を言うのは後だ!奴を倒すぞ、皆んなの為にもな!」

錬「そうだな!」

瑠衣『錬さん、ごめんなさい。この大変な時に。1つ良くないニュースです』

錬「何かあったんですか?」

瑠衣『皆さんにはちょっと伏せていましたが、さっきの魔導装甲の暴走があったと同じ時刻に同時に日本皇国近海で待機していた艦隊に何かしらのトラブルがあったようで、攻撃されたと主張して戦闘になってしまったようです。今の所はこちらに主だった被害の報告はないようですが…』

錬「つまり、そのトラブルになってるっぽい元凶であるアイツを倒せってことですか?」

瑠衣『このまま混乱が長引くと本国の皆さんにも被害が出かねません…。おねがいできますか、錬さん…』

錬「わかりました!こっちは瀬那ちゃんの歌で何とかなったけど…あっちは治まってないのだとしたらあいつの魔法装甲に何かしらからくりがありそうだな」



ようやく起き上がりこちらを見つめているマグネス。

世界装甲戦の真の戦いがここに幕を切った。

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