第96話 団体戦 2回戦 ④
アフリカ代表は手応えを感じていた。
魔鉱石を砕いて作ったチャフグレネード。
それを使用する事によって魔法索敵にもかかりにくくなり土属性に特化した装備を使う事で地面をもすいすいと掘り進める事が出来る。
通信はこちらも制限がかかるが、振動を探知する旧型のレーダーが役に立っていた。
相手のおおまかな位置をつかむ事ができているので罠にかけることも容易だった。
自ら罠にかかりに来た黒い魔法装甲は今、目の前で奈落へと落ちていった。後は下の部隊と合流してトドメをさすだけだ。
他の分担した部隊も敵がここに来ていないことを考えると足止めに成功しているみたいだ。
代表のリーダーは目の前に広がる奈落へゆっくり降りていくのだった。
一方その奈落へ落ちたウルは…。
ウル「クッ…。大分落ちたか…」
黒鋼:そのようだ。まさか地面をここまで掘っているとはな…。
ウル「探知できなくなるのと視界を悪くしているのはこれをやるためだったのか…」
黒鋼:おそらくは。他のメンバーも心配だが…
ウル「多分大丈夫だろう。今は…」
黒鋼:とりあえずこの状況から生き残ることが先決か!
黒鋼の周りにある4つの穴と正面の壁の上から魔法装甲が現れたからだ。
囲まれた状況であったが、ウルの口には笑みがこぼれていた。
ウル「さて、1回戦目では何もする事がなかったからウズウズしていたんだ…。この申し分ない状況。せっかくだ楽しませてもらうぞ!」
「なっ!早い!ぐぁぁぁぁ!」
出力をそれなりに出して体当たりをかましただけだったが、アフリカ代表の魔法装甲は戦闘不能になる。
追加装甲を施した黒鋼は見た目は鈍重そうに見えるが、追加装甲の重さはそれ程でもなく、むしろ同じ大きさの他国の魔法装甲よりは軽い方なのだ。
それだけではなく、出力が増した事により今まで余分なエネルギーを消耗する事を恐れて使っていなかったスラスターを増設した事で速く動けるようになっていた。
そういった事もあり、見た目に反して素早く動けるのだ。
「くっ、クソっ!一気に蹴りをつける!火力を惜しまず放て!」
1体を撃破したウルは次の獲物を狙うため正面を向いたが、そこへ残った4体の魔法装甲の集中放火を浴びる。
「フハハハハハ!やったぞ!とりあえず1体撃破だ!…………って、何ぃ!」
ありったけな火力を叩き込んだはずだったのだが、爆炎の後煙が晴れた先に現れたのは無惨な姿の黒鋼ではなく、左手を前にかざしたままの体制の全くの無傷の黒鋼が居たのだった。
黒鋼:流石、とんでもない事を思いついた奴が付けた機能だ。損傷はほぼないようだ。
ウル「結界魔法を応用した技術か…。
黒鋼:左手首にある結界形成装置。左手を前に出して展開することで強固な結界を形成するか…なるほど盾など不要な訳だな。
ウル「それだけじゃなく、装甲全体を覆う事の出来る結界を形成する
黒鋼:つくづく奴を敵に回さんで良かったと思うよ…。
ウル「同感だ…。さて、これ以上はないようだから決着をつけさせてもらうぞ?」
双剣を抜くと、ジリジリと相手に近づく黒鋼。
その迫力からアフリカ代表達も後ろへジリジリと交代していく。
その数秒後、アフリカ代表達の悲鳴が奈落の穴にこだまするのだった。
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