第16話 ダンジョンの獣

ダンジョンの最奥にたどり着く2人…。

そこに待ち受けていたのはウルドラがいた所のような広い空間…そこに待ち受けていたのはベヒモス…いやベヒモスより一回り大きな体格がある。



ルナ「ベヒモスキング…」

錬「王様がお出迎えか…」



圧倒的な風格…そして威圧感…相手もこちらを敵と認識したのか威嚇を開始する。


錬「先手必勝!」

ゴァァァァァ!


錬は相手が動くよりも早く接近し、先制攻撃をベヒモスにお見舞いする。

ベヒモスの右前足にヒットした攻撃はその巨体をよろめかせる。

それに続くようにルナは拘束魔法を発動する。

拘束魔法は地面より鎖を伸ばし、ベヒモスの四肢、胴体を拘束する!

暴れようとするベヒモスであったが、拘束魔法は解かれることなくその巨体を抑え込んでいた。


錬「ルナ!ナイスアシスト!」

ルナ「錬!油断しないで!」


わかってると言うと錬は反対側の足に近づき、攻撃を加える。

ズドン!という大きな音と振動と共にベヒモスの巨体は地に伏した。

錬は次にベヒモスの頭を狙おうと頭の前に移動する…。

その瞬間、ベヒモスの口より炎が吐き出される!


ルナ「錬!」


ルナは自分にも影響が及ぶと思いとっさに拘束魔法を解き、防御魔法を展開する。

だが錬が近くにいない為、錬の分までは展開できていなかった。

いかに魔装を使っているとはいえ、直撃すれば無事ではすまない…錬が炎に飲まれると思い目を閉じようとした瞬間、ルナは信じられない光景を目にする。


『!?』

ルナ「えっ?」


なんと、ベヒモスの吐いた炎が錬の目の前で分かれ、まるで錬を避けるように通り過ぎて行っているのである。

その光景にベヒモスも炎を吐くのをやめ、錬を見る。


錬「ウルドラの時は失敗したけど、今回は成功だな」


あっけらかんと言い放つ錬は再び戦闘態勢をとる。

ルナもそれに続いて魔法を展開し直そうとしたとき、目の前で再び信じられない出来事が起こった。


『フハハハハハ!初めてこの最奥まで来た人間は面白いことをする…』

錬「喋った…?」

ルナ「言葉を理解する魔物はいるけど…ここまでハッキリと喋るなんて…」


ウルドラのように神話で語られるような龍や神獣などと崇められている魔物は言葉を話すなど聞いたことはある。一般的に知られている魔物でも人と共存しているものは言葉は理解しているが話すことはない…ましてや、ベヒモスのような魔物がはっきりと言葉を話すなど聞いたことがなかった。


『長い時、ここで過ごすうちに変化してしまったらしいな…』

錬「ウルドラも言ってたな…ダンジョンの中って時が緩やかだから長く過ごすと時間の概念がなくなるとか…」

ルナ「そうだとしても、どうやって言葉なんて覚えて…」

『それは…あれだな…』


ベヒモスは自分の後ろにある一つの棚を指す。

そこには本がいくつも並べられている…

床にはいくつか本が落ちており、読んだ後もあった。


ルナ「読んだ後もあるけど…どうやってその大きさで?」

『ああ、そうか…少し待て…それを読む際になる姿になろう…』



そういうとベヒモスは体から光を発し、その輪郭は小さくなっていく。

錬が見るに、そのサイズは大型犬あたりの大きさになっているのを確認できた。


錬「そんなこともできるのか…」

『長く生活していると暇なのでな…最初に見た本で色々と試してみてな』

ルナ「あの大きさで見たの?」

『以外に器用なものでな…爪の先でめくっていた』


そういって、自分の手をちょんちょんと動かすベヒモス。

その姿は立派な角の生えた大型犬のような感じに見えて錬は笑っていた。


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