第12話 夏休みへ

その日錬達は夏休み前の終業式に参加していた。

休み前に受けたテスト結果が良好だったこともあり一行は式が終わったのち教室で談笑していた。


渉「兄さんは休み中どうするんだ?」

錬「そうだな…まぁ、今回は宿題は初日に全部終わらせるとして…」

紗菜「珍しいね?錬が初日に全部終わらせるなんて?」

琳「まさか…俺と一緒に勉強するのが嫌になったのか?」

綺「琳は錬くんと一緒に勉強した結果成績あがったからね~。それじゃ今年は私と勉強を…」



相変わらずのやり取りを見せる2人に錬は笑っていた。

ひとしきり笑った後に理由を話し出す。


錬「実は今回夏休み入ってから頼みがあるかた来てほしいって尊さんから連絡あってな。宿題とかの関係からそれを終わらせてからってことで了解もらったからね、それで初日で宿題片づける予定になったんだよ」

琳「相変わらず…」

綺「そんな重要そうなことをさらっと言ってのけるのは…」

紗菜「錬だけね…」

渉「先生たちも3賢者の1人から呼ばれているってこと話せば何かあったとしても宿題くらい見逃してくれると思うんだが…」



渉の言葉にうんうん頷く3人…


錬「あ、それと俺だけじゃなくて皆も一緒に来てほしいってさ」

一同「「はぁ!?」」

錬「そんな訳だから俺は明日終わらせるから皆もどうだ?」



ニコニコしている錬と裏腹に皆は呆れていた…いや諦めていた。

こういう態度をとる際には拒否権がないことを意味していたからだ。

次の日、夏休み初日になったが皆は錬の家で宿題をやることになり、終わった頃には燃え尽きたようにテーブルに突っ伏していた。


一同「「・・・・・」」

ルナ「あの…お疲れ様…」

錬「サンキュー!」

誠「終わったかー!って…うおっ!皆お疲れの様子だな…」



惨状を目の前にして誠とルナはちょっと引いていた…それを引き起こしたのは錬だということも気が付いていた。


誠「錬…あのな…まだ休みはあるんだから手加減してやったら…」

錬「かといってもな、父さん…」

ルナ「3賢者に呼ばれたこと関係してるんでしょ?錬が急いで片づけるってことは…」

誠「そうか…お前はいつも万全にしていきたいやつだからな…。俺はちょっと買い出しに行ってくるから皆ゆっくり休んでいきなさい。夜はBBQでもするから良かったら両親に伝えておきなさい」


そういうと誠は買い出しに行ってしまった。

各々が自宅に連絡しOKをもらったのだが、1人…渉だけが帰ってこいと言われてしまった。


渉「ごめん…兄さん…」

錬「気にするないつもの事だし…。今日くらい怒られたらどうだ?中学夏休み最後だしな!別に危険なことするわけじゃないんだ」

渉「それも…そうだな…!」



そんなこんなで誠が帰ってきてBBQの準備をしていた時だった。


??「やっぱり!渉お兄様!帰りますよ!!お父様も、お母様も心配してます!」


そこに現れたのは妹の信条彩芽しんじょう あやめ

おそらく両親に言われて来たのだろう。

渉を見つけるとその手を引っ張っていく。


錬「彩芽、一緒にご飯食っていったらどうだ?」


そう彩芽に促す錬であったが、その錬を睨みつけると罵声を浴びせる。


彩芽「ふざけないで!誰があなたのような無能力者と!」

ルナ「ちょっと!」


その言葉にルナだけでなく、他のメンバーも準備していた手を止め彩芽を非難しようとするが錬に止められる。


錬「悪い、彩芽今日は帰ってくれないか?」

彩芽「なんで、あなたに命令されなきゃ!」


彩芽も自分の言った言葉に引けなくなったのか、渉の手を離すと涙を目に溜めながら錬をそのまま睨む。

彼女の手にはバチバチと電気が溜まっているのを確認できたがそれが彼女が制御しているような感じではなく感情によって暴走しているように感じた。

どんどんそれは激しくなっていく…。


渉「落ち着け!彩芽!魔力を制御するんだ!」

彩芽「…だめ…とめ…られない・・・!」


バチバチバチ!

やがて彼女に近づくことも難しい感じとなり周りの人も止められない状態になる。


渉「兄さん…」

錬「わかってる…」


錬はそんな彼女にゆっくり近づくとその途端、パン!と弾けた音がしたと思うと激しくなっていた電撃がなくなってしまう。


錬「大丈夫か?」

彩芽「…うん…」

渉「ありがとう、兄さん…。皆もごめん」


渉は彩芽を連れ出すと自宅に連れて帰ると伝え一緒に帰宅したのだった。

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