第8話 ダンジョンの主 since1997
3人と1神の活躍でどんどんとダンジョンの奥に進んでいく一行。
ある程度ダンジョンの奥に潜っていくととても広い空間へとたどり着いた。
松明みたいな明かりはあるものの辺りはうす暗い…。何か大きな息遣いが聞こえた時だった。
徹「な、なんだこいつは!」
初めに気が付いたのは徹であった。
他のメンバーもその暗さに慣れた時だった。
自分たちの目の前にとてつもなく大きな魔物…いや龍が横たわっていた。
昴「オイオイ、冗談じゃないぞ…ベヒモスどころじゃないぞこれは…」
尊「これは…主…だよね?」
徹「恐らくな…」
錬「…」
巨大な龍を目の前に3人はピリピリしていたが、錬はいままでダンジョン内で出会ってきた魔物達から感じた敵意はないように思えた。
“小僧。流石よな。こやつに敵意がないことがわかったか?”
錬「うん…なんとなくだけど…」
目を閉じていた龍は瞼を開けるとその大きな瞳をこちらに向ける。
『久しぶりよな。人の子がここまでくるなど…』
徹「ダンジョンの主?」
『そうじゃな、そういわれているな…。して、お前たちは我を倒しに来たのか?』
尊「攻略するってことはそうなるんでしょうね…?」
昴「さて、錬くんは少し離れてるんだ!」
3人は錬を少し離れた位置へ置くと戦闘態勢をとる。
まず、徹が魔法を放つ!
尊も続いて魔法を射つ。
その後に自信に強化魔法をかけた昴が龍の巨体に打撃を叩き込む。
次々と攻撃を仕掛けるが龍はダメージに繋がっていないのか声を上げることもなくただ3人を見つめる。
『今のお前達では勝ち目はないぞ?』
今の攻撃で悟ったのか龍はそう呟くとゆっくりと顔を上げ、口を開いたかと思うと炎を吐いた。
3人は固まると尊が防御魔法を発動する。
龍の吐く炎を防いではいるが錬から見ても防ぎ切れるような感じではないと思えた。
バキバキ!
防御魔法が破られる音が響く。その後、すぐに3人の悲鳴が聞こえる。
錬のを遮っていた炎が止むと、そこには3人が倒れていた。
重症ではないものの気絶しており、暫くは動けそうにないような状態に思えた。
錬は駆けつけようとしたが、龍によって止められる。
『心配するな。すぐ治癒魔法をかける…』
龍はそう言うと負傷した3人に魔法をかける。
瞬く間に傷が癒えていったのを確認できたため錬はほっと一息をついた。
“久しいの。ウルドラよ”
『天照か…。100年ぶりか?』
“いや、1000年ぶり程よ。おぬしはここにいるからあまり時が経ったと感じぬだろうからな”
そうか1000年か…と龍は呟くと再び天照に問いかける。
『今日は何用か?戦争の時にも人に力を貸そうとしなかったお主がなぜその小僧と契約しておる?』
“あの時が近いということを伝えに来たのもある…。それにお前に頼みたいことがあっての?”
『ほぅ…。神が直々に頼みとは面白い。頼みというのはその小僧のことか?魔力が全く感じない…。まるで…』
“そう、あやつと同じじゃ。魔力が無くなったのは私と契約したからなのだが…。魔力を必要とせず魔法を扱う術を知っているお前にだから頼みたいのだ”
錬「魔力がなくても扱えるの!?」
『あぁ、扱う術はある…。だが、それには莫大な知識と覚悟が必要だ…。この方法で魔法を扱えば命の危機もあり得る。それでも?』
錬「やる!教えて!」
錬はまっすぐ龍の瞳を見つめる。
『フハハハハハ!天照よ、お主が契約した理由が分かった気がするぞ。その真っすぐな瞳…奴に似ておる!いいだろう小僧。覚悟があるなら私の後ろにある部屋に行くといい』
錬は目を輝かせウルドラの言葉に従うと走ってウルドラの後ろにある部屋へ走っていく。
“あやつなら恐らく…”
『お主が考えていることと我も同じだろう…』
1匹と1神は少年がこれから起こす出来事を知っているかのように自然とほほ笑んでいた。
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