第10話 戻った力

呪いを倒す?ことに成功したことにより、ルナは魔力を再び練ることができるようになった。

それからは紗菜や渉と一緒に魔力のトレーニングをするまでになった。

4人は揃うとよくダンジョンに入り魔物を倒しながらいつものようにウルドラの元へと向かった。


『今日も来たか…。丁度いい、今回は実戦形式でやろう』

錬「実践?2対2でか?」

『何を馬鹿な事をいっておる。3対1じゃ』

ルナ「3対1って…3は私たち?」

『そうじゃ、渉、紗菜、ルナだな』

錬「真面目に?」

『大真面目じゃ』



がっくり肩を落とす錬、あきらめたように3人から離れると戦闘態勢をとる。

3人も自分の杖を出したりなどし錬と見つめある態勢をとる…。


数分後…



渉「はぁ…はぁ…強すぎる…」

紗菜「3人で…攻撃したはずなのに…」

ルナ「全く攻撃を当てられなかった…」


仁王立ちしている錬に対して3人は膝をつき疲弊していた。

それもそのはずである…3人の繰り出す攻撃魔法はことごとく外れる、かわされる。それだけにとどまらず、攻撃が返ってくるためそれに対処するだけでも一苦労していた。

埒があかないと悟った渉が近接攻撃を仕掛けるも、錬はそれを軽くいなしていく。

先にギブアップしたのが3人の方だったのだ。

普段であればエルフ族は魔法に関して負けるとなると相応の屈辱感を感じるはずであった。今回魔法に関することで敗北したのだが、ルナには屈辱的には感じなかった…。逆に清々しささえ感じていた。



ルナ「あのね錬…ありがとう…」

錬「なんだよ、急に?」


手を差し伸べる錬に答えるようにその手をとるルナ。


ルナ「どうしてもお礼を言いたいの…あなただけじゃなく叔父さんやここにいる皆にも…」


全てに絶望していた自分に希望を与えてくれた皆にすごく感謝していた。

居場所を作ってくれた錬の叔父…

一時期、魔法を使えない自分を受け入れてくれた紗菜と渉…

そして、再び魔法を使える機会を与えてくれたウルドラと錬…

自分には足りないものを…無くしたものを補ってくれる存在達が自分の周りにいたことに自然と感謝していた。


紗菜「今は魔法が使えるようになったけど…ルナが例え魔法が一生使えなくても私は見捨てたりしないよ?」

渉「俺もだよ。兄さんに負けた俺が言う事じゃないかもしれないけど…何かあったら全力で力になる!」

ルナ「ありがとう!2人とも!」


ガバッと2人に抱き着くルナ。

紗菜はルナの背中をポンポンと叩いていたが、渉は照れたように顔を搔いていた。

日々の鍛錬、生活共に充実しているように感じていた錬。

こんな満ち足りた日々をいつまでも過ごしていければ…そうこの頃の錬は思っていた…。








序章 小学生編  END




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