第9話 VS呪い
錬「そんな事があって、ウルドラが守っていた物を俺が手に入れたもんだからこのダンジョンを攻略ししちゃった感じになってな」
『それからは我が小僧に錬金術を教えて今に至るわけじゃ』
魔力を失った2年前に錬自身に起こったことを聞いたルナ。
『エルフの小娘。お前は錬とは違いその呪いをなんとかできれば魔法を使えるようになるだろう…』
ルナ「…」
錬「俺みたいにずっと魔力なくなったわけじゃなくてよかったよ。この問題を解決すれば魔法は使えるなら万事解決だな!」
ルナ「どうして…。どうしてそこまでしてくれるの?私とあなたは少し前まで他人だったのに!?」
錬「でも、今は家族。そうだよね?」
悲痛な叫びをあげ涙を流すルナ。そんなルナに当たり前のように言葉を投げかける錬。
そんな様子を見てウルドラはニヤリと笑いをこぼす。
『小僧、とりあえず呪いを解く準備をする。その間集中しておけ。小娘は我の前に来い。』
ルナは言われた通りウルドラの前に移動する。
錬はルナの数十歩後ろに待機すると、少し目を閉じ何かを感じるように集中しだす。
それを確認したウルドラは何かをブツブツと唱えだす。
一分程するとルナの足元に魔法陣が展開される。
『いいか、小僧。我はこの小娘を守る故に加勢はできぬ。お前自身が呪いを仕留めろいいな?』
錬「わかってる。準備は大丈夫だ」
それを合図にしたように魔法が発動される。
それは姿を現した。
禍々しい…例えるなら前の世界で本で読んだことのあるような悪魔…そう表現しても過言でないモノが錬の目の前に現れた。
“マダ、ハヤイトオモッタガ…ナルホド、キサマラノシワザカ”
錬「だったとしたら?」
“コロスマデダ!”
そういうと悪魔っぽい何かは自身の鋭い爪を薙ぐ!
錬にそれは当たると思われた。が、錬に当たったと思った瞬間、悪魔の爪が砕け散った。
“ナニガオコッタ?”
錬「…」
悪魔は砕けた自身の爪を見て信じなられないといった表情を浮かべているように思えた。
錬を見るも負傷しているようにも見えず、混乱している様子も伺いとれた。
ルナ「一体何が…」
『マナ自体を体の表面に固着させただけのようだが…なるほど、そういう事か…』
ルナにはわかっていないようであったが、ウルドラはなんとなく理解しているようであった。
“セッキンセンハキケンカ”
そういうと空中に飛び上がり魔法を放つ。
放った魔法は黒い矢になり、いくつも錬に向かい飛んでくる。
だが、そんな魔法にも動じず、錬は全てをかわしていく。
“ナゼアタラナイ!コレナラバドウダ!”
悪魔は攻撃が通じない錬に対して、今度はかわしきれないような攻撃へと切り替える。悪魔が出した魔法は巨大な火球をいくつも形成していくというものだった。
かわしたとしても、おそらく火球が起こす爆発に巻き込まれる形になるのは明白である。だが、錬はそれを見ても焦る様子もみせずただその巨大な火球を見つめていた。
“シネ!”
そう言った途端に火球たちは錬にむかっていく…。
しかし、火球は錬を捉えることなくその軌道を大きく変える。
火球は着弾することなく、今度は錬の後ろに配置される…そう、錬が魔法を出したかのようになっていた。
“!?ナゼダ!!”
『無駄だろうな…。お前がいくら強力な魔法を放とうが小僧は全てをひっくり返す』
驚愕した表情を見せる悪魔。
錬「それじゃ、終わりにするか?」
それが号令になり火球は悪魔に向かっていく。
かわす為に動いた悪魔であったが、自分の放った時よりも火球のスピードが速くなっておりかわす暇もなく全て命中していく。
とてつもない轟音が響き煙が充満する…その煙が晴れた後には悪魔がいた形跡などなく、いつものダンジョンの空間が広がっているだけであった。
『終わったようじゃな。ご苦労だったな小僧』
錬「ウルドラ!命かけるほどじゃなかったじゃんか!」
悪態をつく錬に悪びれた様子もなくウルドラは答える。
『お前は油断するとすぐ態度に出る。だから最初から気を引き締めるよう言ったまでだ』
錬「俺がいつ油断してたよ!?」
『いつもじゃ』
錬「なんだとー!」
そんな2人?のやりとりを見ていたルナはクスッと笑う。
いつぶりだろうかこんな晴れやかになった気持ちは…。
そのようにルナは思っていた。
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