第17話 片づけの手伝い
ひとしきり抗議の視線を浴びせた後、私は自分の荷物を引っ張り出して、この先の事を考える。
人質は救出した、ならもうあとはおさらばするだけなのだが……。
「どうでもいい事を伺いますが、グランデさん、この部屋の荷物これからどうされるんですか?」
「心理的な距離が開いたら名前呼びになるんだね。エルンさんは」
ひとしきり笑った保険医こと小憎たらしい悪戯グランデさんは、そうだなぁと思案。
「明日、帰ってきたら片付ける事にするよ」
「明日は、遅くまで職員会議がある日では? 前にそんなような事を聞きましたけど」
私はある程度彼の予定を知っている、悲しい事に保健室の住人と錯覚するほどの常連なので。
「あっ、そうだったそうだった。じゃあ明々後日だね」
明後日を飛び越えた。
そのあいだ、生活で不便しないのだろうか。
そこまで考えた後、私は直感で悟った。
この人、ひょっとして私生活はだめだめなのでは?
「はぁ、お片付けだけなら手伝っていきますから」
「本当かい? 助かるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます