第15話 最後の部屋
さがしてごらん。
みたいな顔をされた私は、憮然としながらも荷物を探す事になった。
家の中は相かわらず殺風景で、どこに目的の品物があるのか、一目では分からない。
あるように見せかけて、実はないのではと思ったくらいだ。
しかし、一応あるところにはあったらしい。
「この部屋はまだ見ていませんでしたわね」
家の一番奥にある部屋の扉。
そこにたどりついた私は、ここまでずっと私の後にくっついて探索を眺めていた保険医を振り返る。
保険医は相変わらずにこにこしていたが、「あっ」と何かを思い出した様子。
なんだか声音がわざとらしかった。
「そのドア、開ける時は一応気を付けた方がいいと思うよ」
「え?」
一体なにについて言われているのだろうと首をかしげるが、相手はその事について詳しく説明する気がないようだった。
無言で続きの動作を促される。
私はあきらめて、部屋のドアを開けてみる事にする。
どうやら、このドアは外開きタイプらしい。
ガチャっと、ノブをまわしたら、一人でにドアが動いた。
ひとりでに。
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