第14話 探してごらんなさい



「お邪魔します」


 一応挨拶をして入った家の中は、殺風景だった。


 学校のものらしき書類や、実験器具みたいなのはあるが、それ以外のものが全くない。


 日用品とかも見当たらないのだが。一体どうやって生活しているのだろうか。


 疑問に思いつつも、手当の品を見つけて保険医の額の傷を応急処置。


 消毒液をぶっかけて、ガーゼをあて包帯をまいていく。


「大げさすぎやしないかい?」

「少しの傷でも化膿すると大惨事になりますよ、保険医なんですから、それくらいは理解していらっしゃるのではないのですか?」

「はは、まあそうだけど。僕は君みたいに年頃の少女でもないしね」


 自分の見た目にはかなり無頓着らしい。


 この保険医。


 手当を終えた後、さっそく荷物を返してほしいとうったえるのだが。


「さあ、どこにやったでしょう」


 さがしてごらんなさい、みたいなイジワルをされて額に青筋が浮かんだ感触があった。


 男性の家にお邪魔するなら、ノワール様の家が最初にしたかったのに。


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