344話 まだがんばる
第346章
「いよいよ最後の問題だ。これが航空知識試験の最後の問題だ」
「どういう問題だったっけ、アラン」
「そうです、もう完全に忘れてしまいました、ドロンさん」
「海軍に配備された最も新しいヘリコプターはなにか、という問題だったな」
「ああー、そうそうそうだった、思いだしたよ、アラン」
「あたしも思い出した。興味がまだ足りないみたいです。もっと興味を持たないと。ドロンさんみたいにもっと興味を持たなくてはいけませんね、ドロンさん」
「たまたま僕の好きなヘリコプターの問題だったからだ。それだけだ。そんなことより答えはどうなんだね。君たちできたかな」
「たしかNH90カイマンだったと思うよ、アラン」
「そうです、あたしもNH90カイマンと答えを書きました、ドロンさん」
「二人とも興味を持っているではないか。それならだいじょうぶだ。これでこの航空知識試験はなんとか合格できるかもしれない」
「この試験だけで最終合格が決まるわけではないけれどね、アラン」
「まだまだ試験はそのほかにもたくさんありますから、ドロンさん」
「それにしても僕たち以外の受験生はどうだったのだろうかね。よかったのか悪かったのか」
「こういう試験を受けに来るからみんなレヴェルは高いだろうからね、アラン」
「こういうレヴェルの高い受験生の中から選ばれるわけだから大変な試験です、ドロンさん」
「ひたすら自分の能力を高めていくしかない。これが最善な方法だ。これしかない」
「しかしたとえこの試験に不合格になったとしても、自分たちが今まどしてきたことは無駄にはならないからいいと思うよ、アラン」
「そうですよね、無駄にはなりません。きっといつかどこかで役に立つはずです。そうですね、ドロンさん」
「もちろんそうだ。無駄なことなどひとつもない。この試験のために覚えた事柄、学習の仕方のテクニック、このような経験は実に素晴らしいものだと思う。だから不合格になったとしてもいいではないか」
「まだあきらめるのは早いよ、アラン」
「そうです、まだがんばりましょう、ドロンさん」 つづく
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