338話 心強い

第340章

「次の第7問の問題も理論上の産物かもしれないヘリコプターの問題だったな」

「どんな問題だったのかな、もう覚えてないよ、アラン」

「あたしもです。もう覚えていません、ドロンさん」

「対潜水艦フリゲート艦のヘリコプターの数は、という問題だったではないか」

「ああ、そうそう思い出したよ。確かそんな問題だったね、アラン」

「あたしもそう言われれば思い出しました。言われなければすっかり忘れてました、ドロンさん」

「では君たちが書いた答えを教えてくれ」

「あたしは、リンクスというヘリコプターが2機、と書いたと思う、アラン」

「そうでしたか、あたしもジャンヌと同じ答えを書きました、ドロンさん」

「では君たち全員正解だ。僕もそう書いたから」

「なんだかアランの言うことは全部正解みたいだね、アラン」

「この際そうあってもらった方がありがたいです。あたしの書いた答えが本当に正解であるのでしたら、ドロンさん」

「僕の書いた答えと同じってことは正解っていうことだ」

「すごい自信だね、アラン」

「それほどの自信が持てるということは、よほど真剣に学習して準備してきたのですね、ドロンさん」

「もちろんそうだ。いい加減な気持ちで準備してきたのではこの試験に合格などできやしない」

「それは当然だけれどね、アラン」

「もちろんあたしも真剣に準備してきましたけれど、自分の書いた答えにドロンさんみたいに自信を持てません。不安だらけです。心配だらけです。ですからあたしの書いた答えと同じ答えを書いた人がいてくれると、心強いです、ドロンさん」

「心強い、ということは、答えが正解である可能性が高いということだけではないであろう。もし間違っていても自分一人だけではなくほかにも間違えた人がいるということで安心できる、ということでもあるのであろう。いい意味での一人だけというのであればありがたい。しかし悪い意味での一人だけと言うのは確かにつらいものだからな」

「そうそう、いやだね、アラン」

「そうですね、いやですね、ドロンさん」   つづく

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