337話 理論の産物?

第339章

「ではまた僕の原点に戻った問題だ。次の第6の問題はね。ヘリコプターパンサーの任務は何かという問題だったからね。任務は対艦戦だ」

「アランの好きなヘリコプターだからね。それにしてもこのヘリコプターという乗り物、どうやって考えたのだろうかね。飛行機だと、わりとわかりやすい。鳥がお手本になるからね。鳥と同じなような形にすればいいという発想で作れるかもしれないからね、アラン」

「そうですね、鳥と同じ形の乗りものを作ってそれを何とか前に勢い良く進ませることができれば飛べるかもしれない、こういう発想は割と考えやすいですからね。しかしヘリコプターという乗り物は、そのお手本になるものがないでしょうからね。鳥はみんな羽を持っています。そのため空を飛ぶためには必ず羽が必要だ、というのが常識的な考え方だと思います。しかしヘリコプターには羽がありません。ですからどうしてヘリコプターのような羽のない自然界には存在しない形のものが空を飛ぶことができるという発想が出てきたのかとても不思議です、ドロンさん」

「僕にもよくわからない。ヘリコプターという乗り物は完全に理論の産物だな。飛行機という乗り物は、常識的に生み出された産物であるがね。昔から人間は何とかして空を飛んでみたいという気持ちはあった。そこでしてきたことそれは、大きな羽を両腕につけて飛ぼうとしたことだった。飛行機のようにね。しかしさすがにヘリコプターのように飛ぼうとしたことまでは考えなかったに違いない」

「昔の人間だけではないよ。現在の人間だってそうだよ。飛行機は第1次世界大戦の時にすでに登場してきたけれど、ヘリコプターが登場したのは最近のことだからね。第2次世界大戦が終わった後じゃないの。ずいぶん後になってからだから、アラン」

「そうですね、つい最近といってもいいくらいのことですからね。それにしてもいろいろな乗り物を考え出していくものですね。将来はいったいどういう乗り物が生まれるのでしょうか、ドロンさん」   つづく

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