333話 安心

第335章

「航空知識試験の二番目の質問はシャルルドゴール空母のドーファンというヘリコプターの任務は何かというものだった」

「あなたの好きな問題だね。ヘリコプターの問題だから、アラン」

「そうですね、ヘリコプターのことなら何でも知っていますよね、ドロンさん」

「もちろんだよ。救助活動だ。海での救助活動ではヘリコプターが大活躍できる。あの大きな海の中に浮かんでいる小さな小さな一点を探すのだ。これはヘリコプターしかできない芸当だ。ヘリコプターならば場所の移動が速い。上空から探すことができるため広範囲を短時間で探すことができる」

「船から斜めに海上を見渡して探すよりも、空の上から海上を見下ろして探したほうが見つけやすいからね、アラン」

「このような大きな海で探すのですからね、ドロンさん」

「それに救助の仕方が実にダイナミックだ。ダイバーがヘリコプターから海に飛び込んで遭難者を引っ張り上げて助けるわけだ。まるで映画のシーンのようだ」

「あなたがヘリコプターのパイロットになったらいい見せ場になるね、アラン」

「映画の俳優みたいですね、ドロンさん」

「映画といえばこういうのを見たことがある。第2次世界大戦の映画であるが、たくさんの軍艦が隊列を組んで任務のため目的地に航行していくときに、艦船から海に落ちた隊員がいたが救助できなかったというシーンだ。どうしてかというと、救助するために隊列を止めることができないからだそうだ。救助するために1艦だけ隊列を離れることができないからだそうだ。隊列を組んでたくさんの軍艦が航行している場合、それらのすべての軍艦が一緒に行動してはじめて最大限の戦闘能力を発揮できるからだ。だから、一艦だけでも離脱できないからだそうだ。そのころはまだヘリコプターというものがなかった時代だからな。しかし今なら大丈夫だ。隊列を止めることなく救助することができる」

「あなたは、いい救助者になれるね、アラン」

「ドロンさんがいてくれれば安心です、ドロンさん」   つづく

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