331話 ジュースが来るまで

第333章

「さてとこれでまた会話が弾むな」

「そうだね、急にまた元気が出てきたよ、アラン」

「では今度はジュースが運ばれて来るまでまた楽しいおしゃべりをですね、ドロンさん」

「よし、人格試験の次は航空知識試験だったな」

「そうだったね、だんだん専門的な問題になってきたもんだったね、アラン」

「そうでしたね、人格試験はその場で自分のことを考えれば答えることができましたけれど、さすがに航空知識試験ではそのようなことはできませんからね。こればかりは前もって十分な学習が必要ですね、ドロンさん」

「そうだとも、常識だけではこたえられない問題だからな。もちろん飛行機のマニアとよばれるような人ならばともかく、普通の人ではそうはいかない」

「EOPAN・FRの試験を受験するような私たちは、確かに普通の人たちに比べれば少しは航空知識はあるでしょうけれど、さすがに合格点をとれるほどあるというわけではないからね、アラン」

「そうですよね、実際、試験の問題、かなり専門的な問題がたくさんありましたからね。あの問題で合格点を取るためにはかなり真剣に前もって学習しておかなくてはいけませんでしたよね、ドロンさん」

「もちろんそうだとも。もっとも好きで興味のあることだから楽しかったけれどね。学習というと大変なイメージがあるから、僕にとっては学習というより自分から積極的に好きでやっていたことだけどね。それにやればやるほどどんどん知識が増えていくから実に楽しかった。まるでお金がどんどんたまっていくような気持ちだった」

「お金がたまっていく気持ちなら、こんなに楽しいことはないね。知識がどんどん増えていくことはつまりお金が増えていくことそのもの、こういう気持ちになれれば絶対にどんな試験にも合格できるようになるよ、アラン」

「お金がどんどんたまっていく、しかも試験にも合格できる、いいことだらけですね、ドロンさん」

「そうだとも、いいことだらけだ」

「本当にお金もたまれば、アラン」

「気持ちだけではなくてですね、ドロンさん」   つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る