330話 マンタロー

第332章

「ではユキコはオレンジプレッセでいいな」

「ユキコ、マンタローもあるよ。そうだったね、アラン」

「マンタローですか。ミントシロップを水で薄めたものですね、ドロンさん」

「そうだよ」

「ユキコはマンタローのほうがいいかもね。ね、アラン」

「そう言われるとマンタローのほうが飲みたくなりました,ドロンさん」

「本当にそれでいいのかね、ユキコ。オレンジプレッセのほうがいいのでは」

「ユキコはマンタローに決まりだよ、アラン」

「そうですね、マンタローがいいです、ドロンさん」

「わかった。では僕はオレンジプレッセにしよう」

「これで全員決まったね、アラン」

「氷でよく冷えたマンタローが楽しみです、ドロンさん」

「このジュースの中に氷を入れて飲むことだけれど、今では当たり前だけれどこのような飲み方が行わられることになったのは最近のことなのかもしれないな。よくわからないけれど」

「昔は無理だねもちろん、アラン」

「昔はやはり無理だと思います、ドロンさん」

「昔は冷蔵庫というものがなかったからな」

「冷蔵庫っていつごろできたんだっけ、アラン」

「そういわれればあたしも知りません、いつ頃なんでしょうかね、ドロンさん」

「それは僕にもわからない。やはり最近のことなんだろうね」

「100年以内くらいかね、アラン」

「100年以上はたってはないでしょうね、ドロンさん」

「たぶんね。確かに冬になれば氷はいくらでもある」

「いやになるほどね、アラン」

「冬の氷はあまりありがたいものではありませんね、ドロンさん」

「そうだな。だから冬の寒い時に氷を入れて飲もうとはしないからな」

「冬の寒い時はやはりホットがいいよ、アラン」

「あたしもです。暖かいものがいいです、ドロンさん」

「それに昔は冬では果物も手に入らないからな」

「昔は冬にはそもそもジュースを飲むこと自体も難しかっただろうね、アラン」

「今の時代は一年中ジュースを飲むことができます、ドロンさん」

「昔でも夏はジュースが飲めるが、氷を入れて飲むことができたらどんなに素敵だろうとその頃の人にとっては夢物語だったんだろうな。王様でもね」

「今のあたしたちは王様以上だね、アラン」

「いい時代です、ドロンさん」   つづく

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