327話 ささやかなパーティー

第329章

「では次の設問、航海中に隊員の誕生日があった場合どうするかというものだったな」

「そうそう、なんだか楽しそうな問題になってきたね、アラン」

「こういう問題は考えるのが楽しいですね、ドロンさん」

「いやいやそんなに単純な問題ではないと思うね。この問題も真剣に考えるべき問題だと思うね。隊員の中に誕生日を迎えたものがいるということはたしかにめでたいことである。しかし今は任務の途中で航海中なのだ。だから喜んで浮かれていることはできない。確かにこの設問では、この隊員の誕生日の日は平穏で何事も異変がない日であるとのことだ。しかしいつ何が起こるかわからないのだ。だから常に緊張感を持っていなくてはいけないと思う。だからいくら楽しい誕生日だからといってもパーティーを開くとかってことはどうかと思う」

「そうだね、普通の観光船ではないからね。普通の観光船であったらこういう場合盛大なパーティーを開いてみんなで楽しんだ方がもちろんいいに決まっている。しかしさすがに軍艦ではね、アラン」

「そうですね、軍艦というところはパーティーをしたりして楽しむ場所ではありませんからね。ドロンさん」

「もちろんそうだ。軍艦はつねに外敵に向き合っていなくてはいけない場所だからな。遊びの場所ではないからだ」

「でも、海の上でささやかでもいいから、誕生日パーティーを開くことができたら本当に楽しいけれどね。海を見ながらケーキを食べながらワインでも飲みながら、アラン」

「そうですね、想像しただけで思わず楽しくなってきました、ドロンさん」

「想像だけではね。現実には任務中の軍艦の上で誕生日パーティーを開くことなどできない。だから想像の世界だけで楽しむことにしておこう。今僕たちが今ここにいるところ、ここは目の前が海だ。だからまさに今軍艦の上にいるとイメージしてみよう。そして僕たちは今こうしてささやかなパーティーを開いているのだと」

「ますます楽しくなってきたよ、アラン」

「あたしもです、ドロンさん」   つづく

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