325話 国境を越えた共通のふるさと

第327章

「次の設問、任務の途中に隊員が死亡した場合どうするかという問題だったな」

「そうそう、海の上では陸の上のようにはいかないからね。陸の上ではもちろんすぐに救急車を呼んで病院に連れて行くことができるけれど、海の上ではそういうことはできないからね、アラン」

「そうですね。こういうことが実際に海の上で起きたら大変です。ですからあらかじめどういう行動をとればいいのか理解しておくことはとても大切ですね、ドロンさん」

「そうだな、この問題の選択肢は次の二つあったな、隊員たちを集めて事情を話す、と、隊員達には何も知らせずに基地に戻る、というものだったな」

「そう。あたしは最初の方にしたよ。隊員たちを集めて事情を話すことにね、アラン」

「あたしもです。あたしもやはりこういう場合は隊員たちに事情を話した方がいいのではないかと思いました、ドロンさん」

「そうだな、それにしてもこういうことが海上で起きたりしたらやはり大変なことだ。陸地の近くを航行している場合ならすぐに港に行き必要な措置をとることができる。しかし大きな海の真ん中を航行している場合はそうはいかないからな。実際のことは僕にはわからないけれど、映画などを見ているとこういう場合水葬というものを行うみたいだな。遺体を海の中に葬るということみたいだ」

「海の上で働くことを決めた以上、そういう葬りの仕方はむしろ名誉かもしれないね。最後は自分の好きな海の中に帰っていくことができるからね、アラン」

「もともとこの地球上の生物は海の中で誕生したそうですからね。それから様々な進化をしていき現在の私たち人間がこの地球上に誕生したそうですからね。だからまた私たちのふるさとに帰ることなのかもしれません、ドロンさん」

「まさにその通りだと思う。海は僕たちの生まれたふるさとだ。そういうふるさとに帰れるということ、これは素敵なことなのかもしれない」

「ふるさとってやはりいいものだね、アラン」

「海は国境を越えた私たち共通のふるさとですね、ドロンさん」   つづく

 

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