323話 大きな海

325章

「君たちこの人格テストの問題覚えているかな」

「確か、もしあたしたちが艦長だったらどのような行動をとるかという問題だったね、アラン」

「そうでした。そして設問ごとに二つの選択肢があってその中から自分がとるであろう行動を選ぶというものでしたね、ドロンさん」

「そうだったな。確か設問 1 は海で行方不明になった人がいるとの連絡が基地からあった場合どういう行動をとるかということだったな」

「ほかの船に任せるか、その任務を引き受けるか、どっちかということだったね。あたしはその任務を引き受けるとしたけど、アラン」

「あたしもです。あたしもその任務を引き受けるとしました、ドロンさん」

「僕も同じだ。海の中はあまりにも広すぎる。だからこのような広大な海の中で遭難者を見つけることは大変だ。そのためできるだけ早く行動を起こした方がいい。連絡を受けたら即実行だ」

「そうだね、それがやはりいいと思うね、アラン」

「もし自分が遭難してしまったら、やはり早く見つけてもらいたいですからね、ドロンさん」

「そうだとも。周りに陸地がまったく見えない海しか見えないところでただ漂っているだけでは本当に絶望してしまう。海水浴場で波にさらわれてしまい沖に流されてしまうことを考えただけでも恐ろしくなるな」

「海岸が見えるところでさえもね、アラン」

「でしたら海岸線がまったく見えないところではなおさらです、ドロンさん」

「こういうことを考えると太平洋や大西洋を小さいヨットで一人だけで横断した人って、本当に勇気のある人だなあと思うね」

「いったい嵐の時などどのようにしてヨットを扱っているのかね、まったく想像もできないよ、アラン」

「あたしはヨットという乗り物は真夏の穏やかな海で楽しむ乗り物だとばかり今まで思っていました。ですからまったくイメージがわきません、ドロンさん」

「僕もだよ。僕もイメージがまるでわからないよ。大きな船でも嵐の時の海上は大変だそうだからね」

「海はやはり穏やかなほうがすてきだね、アラン」

「今あたしたちの前にあるブレストの海のように、ドロンさん」   つづく

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