320話 マカロンの色
第322章
「食堂の話をしていたら、なんだか何か食べたくなったな」
「そうだね、あたしも何か食べたくなったね、アラン」
「そうです、あたしもです、ドロンさん」
アランドロンはメニューを手にした。
「なにかいいものないかな」
「何か軽いものがいいよ、アラン」
「簡単に食べられるものがいいですね、ドロンさん」
「おっと、あったあった」
「なになに、アラン」
「何ですか、ドロンさん」
「マカロンだよ」
「そー来なくっちゃ、アラン」
「それしかないですね、ドロンさん」
「いろいろ種類がある。イチゴ味、ピスタチオ味、レモン味、バニラ味、チョコレート味、キャラメル味」
「おいしそうなものばかりだね、アラン」
「あたしの好きなものばかりです、ドロンさん」
「イチゴ味マカロン、もちろん赤い色しているね。ピスタチオ味マカロン、黄緑というか草緑色してるな。レモン味マカロンは当然黄色だ。バニラ味マカロンは白に限りなく近い黄色っぽい色してるな。チョコレート味マカロン、これは言うまでもなく茶色なチョコレート色そのものだ。キャラメル味マカロン、これはチョコレートのように濃い茶色ではなく明るい茶色とでもいうのだろうか、そういう色だな」
「ものの色を表現するのって結構大変みたいだね、アラン」
「自然界には無数の色がありますからね。これといったピッタリの色を表現する言葉は数に限りがありますからね。だからうまく表現するのは大変だと思います、ドロンさん」
「そうだな。どのように表現すればいいのか困ったよ」
「見れば簡単だけれどね、アラン」
「見ればすぐにああこういう色かってね、ドロンさん」
「ところで君たちは何がいいのかな」
「そうだね、そんなにたくさんあると迷うね、アラン」
「あれもいいし、これもいいし、ドロンさん」
「では全部注文するかね。全部で六種類のマカロンがあるから。とりあえず全部注文してその中から一人二つずつ選ぶことにしようか」
「いい考えだよ、アラン」
「まずは注文してからですね、ドロンさん」 つづく
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