317話 たまにはいいかも
第319章
「それにしてもこのカフェ・ノワゼット、結構うまいものだな」
「当たり前だよ、カフェ・ノワゼットだから、アラン」
「当たり前ですよ、カフェ・ノワゼットですから、ドロンさん」
「僕は普段はブラックだけど、ミルクが入ったコーヒーもいいもんだな」
「ミルクが入るとなめらかになるからね、味を穏やかにしてくれるからだよ、アラン」
「それにミルクのほんのりとした甘み、このほんのりとした甘みこれがいいのです。甘みが強すぎると、相手の味がわからなくなってしまいます。強くなくほんのりしているため相手の味をだいなしにすることがなく、むしろ逆によりよく引き立ててくれるのではないでしょうかね、ドロンさん」
「確かにそうかもしれない。ミルクのほんのりとした甘みがあるからかえって、コーヒー本来のもつ苦みをより引き立ててくれているみたいだ。僕の好きなコーヒーの苦みをだ。今までコーヒーにミルクなど入れたら僕の好きな苦みがだいなしになってしまうとばかり思っていた」
「ではこれからはミルクを入れて飲むんだね、アラン」
「これからはミルクを入れて飲みましょう、ドロンさん」
「それで今度は君たちのカフェノワールはどうかね」
「結構ブラックもいいもんだね、アラン」
「そうですね、この苦み、ミルクがなくてもおいしいですね、ドロンさん」
「そうだろう、君たちもやっとわかってきたようだな」
「子供の頃コーヒーをミルクを入れないで飲んだ時、苦くて苦くて飲めなかったからそれからコーヒーを飲むときは必ずミルクを入れるようになったというわけ、アラン」
「あたしもです。子供の頃、ミルクを入れえないとコーヒーは飲めませんでした。それでコーヒーを飲むときは必ずミルクを入れて飲むようになったというわけでした、ドロンさん」
「二人とも子供のころからの習慣だったというわけか、必ずミルクを入れて飲むのは」
「そういうことだよ、アラン」
「はいそういうことです、ドロンさん」
「ではこれからは、二人ともブラックだな」
「毎日ではないけれどね、アラン」
「そうですね、たまにはいいかもしれません、ドロンさん」 つづく
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