315話 車から見る景色

第317章

「それにしても試験を受けに来た時、ここのブレストの駅にはたくさん受験生がいたけれどずいぶん少なくなったな」

「あたしたちよくここまで合格出来たね、アラン」

「本当ですね、よく合格できましたね、ドロンさん」

「せっかくここまでこれたんだ、やはり最後まで合格したいものだ」

「まだまだ先は長いけれどね、アラン」

「そうですね、まだまだ先は長いです、ドロンさん」

「ここに試験を受けに来たときは先輩上級生に車で試験会場の海軍基地まで送ってもらったんだけれど、今思うともっと外の景色見ておけばよかったと思うよ」

「そうだね、あたしもここに来たときは試験のことで頭の中がいっぱいで外の景色をゆっくりと楽しむ余裕などなかったよ、アラン」

「あたしもです。車の中では試験ことばかり考えていました。外の景色はまったく覚えていません、ドロンさん」

「しかし、帰りの船からの景色はしっかり見たからな」

「そうそうしっかりよく見ておいたよ、アラン」

「あたしもしっかり見ておきました、ドロンさん」

「今度またここに来れたらその時はしっかり車からの景色も見るぞ」

「そうだね、合格出来たらね、アラン」

「はいはい、合格できましたらですね、ドロンさん」

「車から見る景色と船から見る景色とは違うからね。船から見える景色はもちろん海岸線の風景だ。海岸線の風景ということは、人の普段の生活の場所ではないということだ」

「人の普段の生活の場所ではないということは、観光に最適な場所ということだね、アラン」

「観光に最適な場所は非日常的なところが一番いいですからね、ドロンさん」

「そうだ。船から見える場所は観光地として整備されている所だ。それに比べて車の中から見える景色は街の中そのものだ。だから人々が普段生活している場所そのものだ」

「住宅がたくさんあって、スーパーなどのお店がたくさんあって、学校、病院、会社などなどがね、アラン」

「車ではそういうこの街に住んでいる人々の日常を見ることができるわけですね、ドロンさん」   つづく





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