302話 カフェの中
第303章
店内はまさに海の中といったイメージであった。海面上から光が差し込んでくる海底の中にいる雰囲気であった。海底のある下側を見ると真っ暗である。しかし海面のある上側を見ると太陽の光が差しこんでいてうっすらと明るい。このような感じであった。大きなガラス窓がある道側の室内は海面に近い海中のようで外から太陽の光が差し込んでいた。しかしそこから一番離れた室内の奥の方は暗く海底に近い海中のようであった。
「どこの席にしようか、窓側の明るい席にしようか、それとも奥の暗い席にしようか」
「どっちの席がいいかはその時の気分で決まるね、アラン」
「そうですね、生き生きして楽しい気分の時は明るい席がいいですね、しかし静かに落ち着きたい気分の時は暗い席の方がいいですからね、ドロンさん」
「そうだね、今は生き生きして楽しい気分だから、窓側の明るい席がいいんじゃないのかな」
「そうだねそれがいいよ、アラン」
「そうです賛成です、ドロンさん」
「ではこの席にしよう」
「そうしよう、アラン」
「そうしましょう、ドロンさん」
藤枝たち三人は大きなガラス窓のある道側の席に着いた。
「ここからだと海は見えないけれど、しかたないな」
「そうだねしかたないね、アラン」
「そうですねしかたありません、ドロンさん」
店員が三人のところにやってきた。
「いらっしゃいませ」
「すいません、まだ注文を決めていません」
「早く決めないとね、アラン」
「そうですね早く決めましょう。ドロンさん」
「いいえ、注文のことではありません。海が見たいのですか」
「実はそうでしたが別にかまいません。ここの席で満足です」
「そうです、だいじょうぶです。ね、アラン」
「ここの席はとてもすてきですからだいじょうぶです。そうですね、ドロンさん」
「ではテラス席はいかがですか、そこからは海が見えます。皆さん」
「テラス席があるのですか」
「どこにあるのかな、アラン」
「見あたらないですね、ドロンさん」 つづく
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