299話 列車時間まで
第301章
「それにしても喫茶店、どこにあるのかな」
「いざ探すとなるとなかなか見つからないものだね、アラン」
「まだ時間はありますから、そのうち見つかりますよ、ドロンさん」
「そういえばさっきから海側の道ばかり歩いているな、もう少し内陸のほうに行ってみようか、そうすれば見つかるかもしれない。海岸に近すぎるからないのかもしれないな」
「そうかもしれないけれど、でもやはり海のすぐそばがいいよ。海が見えるところから一息出来たらやはり最高だよ、アラン」
「そうですよ、せっかく海の見える街の中にいるのですから海を舞台にしたいです、ドロンさん」
「そうだな、ではもう少し先に行ってみよう」
「こうして散歩しているだけでもいいじゃない、アラン」
「そうですそうです、もし見つからなかったら、その時は列車の中のカフェでいいじゃないですか、ドロンさん」
「そうだったな、列車の中のカフェもいいものだからね。あのガタンゴトンガタンゴトンと心地よく揺れる列車の中でのカフェ、実にいいものだな。窓から見える流れる景色を眺めながら飲むコーヒーは実にうまい」
「そうだね、本当においしいね、アラン」
「同じコーヒーでも飲む場所が違うだけで全く味が変わりますからね、ドロンさん」
「そう思うと早く列車に乗りたくなってきたよ」
「まだまだ時間はたくさんあるよ、アラン」
「そうですね、まだまだです、ドロンさん」
藤枝たち三人はこうして海に近い道を歩いていた。
「この海に向こう側、今まで僕たちがいたんだな」
「そうだったね、アラン」
「なんだか今思うと夢の世界にでもいたように思えるよ、アラン」
「ほんとですね、今までのこと現実だったのであろうかと、ドロンさん」
「こうして僕たちがお互いに知り合いになれたこと、これが唯一の証拠だ。本当に僕達は向こうの世界にいたんだということの証拠だね」
「あたしたち3人は今までは全くの他人だったのだからね、アラン」
「そうですね、こうしているのが唯一の証拠です、ドロンさん」
「あ、そうだ」
「どうしたの、アラン」
「どうしたのですか、ドロンさん」 つづく
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