290話 ロング島

第292章

「今度は左側を見て」

「長い半島のようなものが見えるね、アラン」

「ほんとうです、長いですね、ドロンさん」

「ロング島(Île Longue)だよ。文字通り長い形をしているよ」

「言葉そっくりの島だね、アラン」

「長島さんですね、ドロンさん」

「現在はフランス海軍の原子力潜水艦の基地があそこにあるみたいだ(La baze de sous-marins)」

「あそこも海軍の基地なわけね、アラン」

「この辺りはやはり海軍の基地がたくさんあるのですね、ドロンさん」

「昔から軍関係の施設があったみたいだね。しかし昔はいろいろ歴史があった島みたいだ」

「どういう歴史、アラン」

「そうです、知りたいです、ドロンさん」

「第一次世界大戦の時はあの島にドイツ軍の捕虜収容所があったみたいだ(Le camp d'internement pendant la Première Guerre mondiale)」

「 第一次世界大戦か、アラン」

「今から100年前でしたね、ドロンさん」

「あの島にあった捕虜収容所は鉄条網と道で回りが囲まれていたみたいだ(Le camp était entouré de barbelés et d'un chemin de ronde)」

「なるほどね、アラン」

「そうでしたか、ドロンさん」

「内部には居住施設、娯楽施設、作業施設、管理施設があったみたいだ(il disposait de locaux de vie, de détente et d'ateliers, et des locaux administratifs)」

「一つの街みたいだね、アラン」

「生活していく場所ですからね、ドロンさん」

「人間の尊厳は尊重されていたみたいだ。赤十字もそこにあったみたいだ(la Croix-Rouge y étant présente)」

「これが大切だね、アラン」

「そうですね、ドロンさん」

「1919年のここの捕虜収容所でのドイツ軍兵士の写真を見ると、笑っている兵士もたくさんいて楽しそうな収容所だったみたいだね(Prisonniers allemands photographiés en 1919)」

「ならよかったね、アラン」

「はい、よかったですね、ドロンさん」   つづく

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