285話 観光旅行に行くところ
第287章
「観光旅行に行く場所はやはり非現実的な場所がいいね。非現実的な場所、それは別にあり得ない場所ということではない。宇宙とか、海底だとか、地底だとか、こういう場所ではなく、自分が普段住んでいるところとはまったく違うところという意味だね」
「あなたが住んでいるところ、パリだったね、アラン」
「あたしたちパリで会いましたね、ドロンさん」
「そうだったね。だからここは僕にとっても最適な観光旅行の場所だね。このブレストやクロゾン半島という場所には今まで来たことがなかったからね」
「あたしもそうだよ、アラン」
「あたしもです、ドロンさん」
「この場所は僕にとっては全くの未知の世界だったからね。こういう未知の世界に行くということ、これは本当に楽しいことだね」
「未知の世界は楽しいね、アラン」
「本当です。楽しいですね、ドロンさん」
「もちろん自分が普段生活している場所とあるものはまったく同じだ。普通の人が住んでいて、普通の家が建ち並んでいて、店で売っている物も全く同じだし」
「同じ国の中だから、当然だよ、アラン」
「そうですね、ドロンさん」
「しかしそれなのになんだかとても楽しい世界に来たような気分になれるから不思議だ」
「本当にここは楽しい場所だね、アラン」
「楽しくてワクワクします、ドロンさん」
「おそらくあるものはすべて同じでも、微妙な違いがあるのがいいのかもしれない」
「違いのわかる男だね、アランは」
「この違いがわかることこれがいいようです、ドロンさん」
「たとえば自分たちが普段住んでいる町中でも、いつもと違う時間に散歩するだけでなんだか別世界に来たような気分になれる」
「朝と夜とでは見える景色が全く違うからね、アラン」
「同じ道でも反対方向から見るとまた違う道みたいですからね、ドロンさん」
「普段よく買い物に行くスーパーマーケットでもいつもと違う時間に行くとなんだか知らない店に買い物に来たような気分になれる。こういう少しの違いがいいのかもしれない」
「ではこれからいろんな時間に買い物に行ってみるよ、アラン」
「そうですね、そうすれば買い物ももっと楽しくなりそうですね、ドロンさん」 つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます