278話 タバリーホール

第280章

「あの士官学校の校舎の北側の端、向かって一番右側だけれど、そこの裏の方に立方体の形をした建物があるみたいだけれど、その建物の名前がタバリーホール(Hall Tabarly)というみたいだね」

「タバリーってペンデュイックというヨットの人と同じ名前じゃないの。何か関係があるの、アラン?」

「名前が同じですからね、ドロンさん」

「それは僕にはわからない。しかし関係があっても別に不思議ではないね。同じ海軍関係者みたいだから。タバリーもフランス海軍の士官みたいだったからね」

「そのホールってどういう建物なの、アラン」

「そうです。どういう建物なのか気になります、ドロンさん」

「なんだか儀式を行うところみたいだね」

「どういう儀式、アラン」

「どういう儀式ですか、ドロンさん」

「まずこのホールの内部だけれど、中には三人乗れる手漕ぎのボートが展示されているみたいだね」

「後ろ向きに座るボートだね、アラン」

「後ろ向きに座って両方の手でオールを漕いでいく小さなボートですね、ドロンさん」

「そのホールの中は吹き抜けになっていて天井がかなり高いみたいだ。つまり二階部分がなくて、その二階の部分は建物の壁際に細長い通路のようなものがあるという構造みたいだ。建物の内部の壁は全体的にピンクと白色で明るい配色デザインになっているようだね。そしてその壁には船の大きなかじが飾られているみたいだ。床には一面に白いじゅうたんが敷き詰められているみたいだ。こういうホールで何か式典がおこなわられるみたいだ。ここのランベオックの海軍基地には、海軍士官学校だけではなく、下士官や水兵養成の学校もあるけれど(Ecole de manoeuvre et de navigation、forme principalement les officiers mariniers et équipages des spécialités à dominante nautique)この学校での訓練課程の式典をするみたいだね」

「見てみたいね、アラン」

「そうですね、ドロンさん」   つづく


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